今回お届けするのは、毎年恒例JAIA主催の輸入車イッキ乗り大会リポートです。

 「毎年タダで外車に乗せてくれる親切な団体」としてその名も高いJAIAですが、正式名称は「日本自動車輸入組合」と言いまして、その目的は「輸入取引の秩序を確立し、かつ組合員の共通の利益を増進するための事業を行い、もって自動車の輸入貿易の健全な発展を図る」、と何やら厳しいものであります。

 “組合員の利益を増進する”んですね。組合員とは即ちインポーター各社のことであります。こうしたイベントはもちろんですが、よりガイシャが売れるよう、関係省庁への働き掛け、英語で言うと「lobbying」ってヤツも行っておられるのです。

 我が国は自動車輸入関税こそゼロですが、独自の燃費基準であるJC08など、アチラからすれば、「非関税障壁じゃんそれ!」と目されてしまう微妙なファクターが結構多いですからね。軽自動車の規格そのものが「不公平だ」と騒がれたりもしています。

 日本からすれば、「お前らの努力不足だろバーカ」という話なのですが、それを言ってしまうと身も蓋もない。不毛な水掛け論に終始してしまいます。その辺りを(ガイアツなども適度に利用しつつ)、目立たぬように調整しておられるのです。決して単なる親切団体では無い、ということです。

 で、今回試乗したのは、ジャガーにポルシェにアウディにコルベット。シメにはランボルギーニという、障壁など殆ど関係ない乱暴者にまで乗せて頂いて、国産車では決して味わえない「ガイシャの魅力」を堪能して参りました。

これは「羊の皮を被った狼」

 まずはアウディのRS 7 Sportback performanceから。

写真:村田 和聡(以下同)
写真:村田 和聡(以下同)

 RS7は、2010年に登場した、A6をベースにした5ドアハッチバックモデルであるA7のハイパフォーマンス版である。開発及び製造は、アウディの100%子会社である「Audi Sport GmbH」により行われている。

 Audi Sport GmbHは、アウディのモータースポーツを仕切り、またRSシリーズやR8などの特別なハイパフォーマンスモデルを担当する、立ち位置としては、ベンツのMercedes-AMGや、BMWのBMW Mと同様の会社である。同社は昨年末、30年来使用してきたquattro GmbHから現在のAudi Sport GmbHに「ブランド力の向上を目指して」社名変更されたばかりである。

 さて、アウディ RS 7 Sportback performanceだ。

 まずは外見から。昔はよく、「羊の皮を被った狼」などと言ったものだが、このクルマは現在世界一その表現にマッチするクルマと言える。大きな羽が生えているわけでもなく、これ見よがしなエラが切られているわけでもない。フロントグリルとテール部分に、控え目にエンブレムが取り付けられているだけで、特段クルマに興味のない人からすれば、「ちょっと大きめのアウディのセダン」くらいにしか見えないだろう。

 ドアを開ける。印象的なデザインのバルコナレザーで仕立てられたRS専用のシートは、横Gに耐えるため脇部分のサポートが大きくせり出している。このクルマが「タダモノではない」と感じる瞬間だ。

 シートに座る。

 下側がフラットになった異型のステアリングホイールと、カーボンを強調したパネルが“らしさ”を演出している。だが、とりわけスーパーカー然としている訳ではない。“アウディらしい”上質で控え目なデザインだ。RSでもやっぱりアウディはアウディなのだ。

次ページ 走り込めば走り込むほど、車体が小さく軽く感じられる