ディーゼルのメンテが難しいということはありません

F:高橋さんはセールスの方にも技術研修を施されるのですか?

:いえ。メカニックにだけです。BMWディーラーのメカニックが対象です。ディーゼルの研修だけで丸々4日間の研修日程を頂いています。

F:ガソリンとはまた別の技術が必要になるのですか?

:もちろんです。ディーゼルエンジンとガソリンエンジンは根本からして違いますから。

 ガソリン車の場合、燃料の質は変わらない。つまりどんなにアクセルを踏んでも、空気と燃料が14.7:1という比率は変わりません。ガソリンエンジンはアクセルをガバッと踏めば、空気と燃料は同じ比率で同時に増えて出力を出します。ところがディーゼルの方は、アクセルをいくら踏んでも入ってくる空気量は常に一緒です。そこに吹く燃料の量だけが変わるのです。そうやって出力の差を出している。ディーゼルにはスロットルバタフライが無いので。

F:ディーゼルの方は燃料の濃さを変えるということですか?

:その通りです。ディーゼルは燃料の濃さにより出力をコントロールします。その考え方からまず教えていかないといけないので。

F:メカニックでも知らない人がいるのですか。

:いますいます。今まで触ったこともないのですから、それは仕方がありません。

F:整備の上でガソリン車との大きな違いはありますか? 特に壊れやすい部分とか、チェック項目が多いとか、そういうことはありますか?

:まずディーゼルの方が壊れやすいということはありません。チェック項目は、点火プラグがない分、ディーゼルのほうが少ないくらいです。

F:それでは整備する側としては、これからディーゼル車が増えるからと言って、特に技術的に大変になるとか、そういうことではないと。

:ガソリンと比べて特に難しいことはありません。ですが、今まで触る機会が少なかったのに、ここへ来て急に増えてきたものですから、勉強するべきことはたくさんあります。新しいことが増える分、現場の方としては確かに負担が増えることになります。

F:今までとはまったく違うことを学ぶような感じですか。

:そうですね。そう考えていく必要があります。

 ガソリン車をずっとやっていると、どうしても長年染みついたガソリンの感覚というものがありますから、その感覚のままディーゼルの整備をしてしまうと、妙なことになってしまう。やはりディーゼルの考え方はまったく違いますので。もしエンジン不調が発生した時には、どこからどう考えていけばいいか。ガソリンとディーゼルは、そもそもまったく違うものだという意識の下でやっていかないといけません。

VW排ガス問題の影響は全くありません

 ガソリンとディーゼルはまるで違うもの。そういう意識で整備していかなければならない。なるほど。乗る側としては入れる燃料くらいしか変わらないのだが、整備をする側は大違いのようだ。まるで別物としてイチから勉強しなおさなければならないのだ。

 そうそう。ディーゼルと言えばフォルクスワーゲンの排気ガス偽装問題。

 この話を避けては通れない。あの問題により、ディーゼル全体のイメージが低下してしまったのではないか。日本におけるBMWへの影響はどうなのだろう。

F:これは星川さんに伺います。VWの排ガス偽装問題以降、BMWのディーゼル車の売り上げはどうですか。「やっぱりディーゼルはあかん」、とキャンセルが出たり売り上げが落ちたということはありませんか。

星川(以下、星):それはまったくないですね(きっぱり)。実態として数字はまったく落ちておりませんし、VWさんのあのスキャンダルがあったからといって、来年度以降のディーゼル車の展開を見直すとか、そんな話も一切出ていません。

 ディーゼル車に関してはあまり心配していません。むしろ今後はディーゼル車のモデルを拡充していく方向で考えています。ちなみにいま日本で売れているBMWのおよそ3割、いやもう少し多いかな。35%ほどがディーゼルエンジン搭載車です。

F:日本で売れるBMWの35%がディーゼル!そんなに!これは比率で言うと輸入車ブランドの中でナンバーワンでしょうね。

:そうなると思います。モデル数で言うとメルセデス・ベンツさんの方が多くなると思いますが、販売比率と販売台数ではBMWの方が多いと思います。

F:しかし35%とは驚きました。ワールドワイドだとどうでしょう。これがさらに多くなるのでしょうか。

:実はあまりかわらなくて40%くらいです。ただこれは国と地域により大きく異なります。ヨーロッパだと80%くらい。逆にアジアだとまったく販売していない国もありますので。

次ページ セレナやオデッセイからの乗り換え