BMWのインポーターインタビュー続編です。

 先週号(ミニバンのFF2シリーズはBMWの主力になる!)ではBMWジャパン広報部の星川聡さんに、「なぜBMWがFF車を出したのか」について、その背景を伺った。

 今週は同席されたBMWの技術トレーナー、テクニカル・クオリフィケーション・マネジャーの高橋昌志さんに技術面での話を伺う。高橋さんは全国のBMWディーラーメカニックに、新たに導入される新型車のメカニズムについて教育する仕事をされている。BMWのメカニズムについて、隅から隅まで知り尽くしている、“BMWの名人”と呼べるお方である。

F:高橋さんはもう長いことBMWにお勤めで?

BMWジャパンテクニカル・クオリフィケーション・マネジャーの高橋昌志さん
BMWジャパンテクニカル・クオリフィケーション・マネジャーの高橋昌志さん

高橋さん(以下、高):はい。1988年の入社ですから、30年近くになります。

F:今回BMWのディーゼル車を試乗させて頂いて、その完成度の高さに驚愕しました。前よりもうんと静かになり、振動も少なくなった。

:ディーゼルエンジンは、コモンレール方式の登場により大きく変わりました。これはBMWだけの話ではありませんが、コモンレールの前と後とでは、全くの別物と言っていいほど違います。

F:今までのディーゼルは、ハッキリ言ってダンプとかトラックのイメージです。ガタガタうるさくて振動も大きくて排ガスも酷い。

:確かに昔のディーゼルはトラックのイメージですよね。ですが今は違います。トルク感もそうですし、燃費も排ガスも一気に良くなりました。

 コモンレールの登場で、ディーゼルエンジンは大きく変わった。
 燃費が良くなり振動が減りトルクが増しておまけに排ガスまでキレイになるという。

 そんなに有り難いコモンレール方式とはいったい何者であるのか、ここで少しだけ基本の“キ”の字を勉強しておこう。

デンソーのコモンレールシステム。左からポンプ、インジェクター、コモンレール
デンソーのコモンレールシステム。左からポンプ、インジェクター、コモンレール

 コモンレールの“コモン”は英単語そのものの意味である「共通」を、そして“レール”は「燃料パイプ」意味している。今までのディーゼルは、ポンプからそれぞれの気筒に直接燃料を分配していたのだが、コモンレールでは、いったん高圧の共通パイプに燃料を蓄えて、高圧化した燃料をそれぞれの気筒に高圧のまま分配する方式を取っている。

 燃料が高圧で噴射されると何が良いのか。単純に言えば、燃料の霧の粒子が小さくなることだ。

 燃料が高圧化される→霧の粒が小さくなる→同じ量の燃料でも表面積が大きくなる→燃料が空気とよく混ざりよく燃える→高燃費かつ高出力で排ガスもキレイ……という訳である。実にめでたい。

 コモンレールのアイデア自体は100年以上も前にボッシュから出されており、圧こそ低いが“それらしいもの”もできていた。だが高圧化した燃料を制御する高度な電子技術や高圧に耐えるインジェクションの開発などが追い付かず、普及には至らなかった。

 1995年、デンソーがトラック用「コモンレールシステム」の量産化に世界で初めて成功、それを搭載したのが日野のレンジャーだった。

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