みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
試乗してコロッとイってしまったディーゼルのGクラス。的場の兄貴からケツを叩かれたこともあり、ホントに購入いたしました。
ボディカラーは私の心の色を表す純白であります。

2016年モデルは、試乗した昨年までの2015年モデルよりもさらにエンジンがパワーアップしており、さらに乗りやすくなっています。ようやく雪も降り始めましたし、これからこいつでガンガンスキーに出掛けようと思います。まずはスタッドレス選びから始めましょう。どこのメーカーにしようかな。
さて、話は南の島に飛びまして、マラソンに出場するため沖縄県の石垣島へ。寒波がどうとか言っていますが、夜でも気温は20℃超。Tシャツ短パンで十分です。

ところが大会当日は100年来とかの寒波が押し寄せまして、ここ石垣でも最低気温6℃、最高気温が9度というまさかの極寒状態。おまけに台風並みの強風です。どうなっているのでしょう。

レース中は押し戻されるほどの強風が吹き荒びまして、まるでお笑い番組の罰ゲームのような状況でした。ロクに練習もしておりませんで、タイムはギリで4時間切りという為体。実は今月末の東京マラソンにも出場するんです。こんなことで大丈夫なのでしょうか。


ということでボチボチ本編へと参りましょう。
BMWのインポーターインタビュー続編です。
先週号(ミニバンのFF2シリーズはBMWの主力になる!)ではBMWジャパン広報部の星川聡さんに、「なぜBMWがFF車を出したのか」について、その背景を伺った。
今週は同席されたBMWの技術トレーナー、テクニカル・クオリフィケーション・マネジャーの高橋昌志さんに技術面での話を伺う。高橋さんは全国のBMWディーラーメカニックに、新たに導入される新型車のメカニズムについて教育する仕事をされている。BMWのメカニズムについて、隅から隅まで知り尽くしている、“BMWの名人”と呼べるお方である。
F:高橋さんはもう長いことBMWにお勤めで?

高橋さん(以下、高):はい。1988年の入社ですから、30年近くになります。
F:今回BMWのディーゼル車を試乗させて頂いて、その完成度の高さに驚愕しました。前よりもうんと静かになり、振動も少なくなった。
高:ディーゼルエンジンは、コモンレール方式の登場により大きく変わりました。これはBMWだけの話ではありませんが、コモンレールの前と後とでは、全くの別物と言っていいほど違います。
F:今までのディーゼルは、ハッキリ言ってダンプとかトラックのイメージです。ガタガタうるさくて振動も大きくて排ガスも酷い。
高:確かに昔のディーゼルはトラックのイメージですよね。ですが今は違います。トルク感もそうですし、燃費も排ガスも一気に良くなりました。
コモンレールの登場で、ディーゼルエンジンは大きく変わった。
燃費が良くなり振動が減りトルクが増しておまけに排ガスまでキレイになるという。
そんなに有り難いコモンレール方式とはいったい何者であるのか、ここで少しだけ基本の“キ”の字を勉強しておこう。

コモンレールの“コモン”は英単語そのものの意味である「共通」を、そして“レール”は「燃料パイプ」意味している。今までのディーゼルは、ポンプからそれぞれの気筒に直接燃料を分配していたのだが、コモンレールでは、いったん高圧の共通パイプに燃料を蓄えて、高圧化した燃料をそれぞれの気筒に高圧のまま分配する方式を取っている。
燃料が高圧で噴射されると何が良いのか。単純に言えば、燃料の霧の粒子が小さくなることだ。
燃料が高圧化される→霧の粒が小さくなる→同じ量の燃料でも表面積が大きくなる→燃料が空気とよく混ざりよく燃える→高燃費かつ高出力で排ガスもキレイ……という訳である。実にめでたい。
コモンレールのアイデア自体は100年以上も前にボッシュから出されており、圧こそ低いが“それらしいもの”もできていた。だが高圧化した燃料を制御する高度な電子技術や高圧に耐えるインジェクションの開発などが追い付かず、普及には至らなかった。
1995年、デンソーがトラック用「コモンレールシステム」の量産化に世界で初めて成功、それを搭載したのが日野のレンジャーだった。
ディーゼルのメンテが難しいということはありません
F:高橋さんはセールスの方にも技術研修を施されるのですか?
高:いえ。メカニックにだけです。BMWディーラーのメカニックが対象です。ディーゼルの研修だけで丸々4日間の研修日程を頂いています。
F:ガソリンとはまた別の技術が必要になるのですか?
高:もちろんです。ディーゼルエンジンとガソリンエンジンは根本からして違いますから。
ガソリン車の場合、燃料の質は変わらない。つまりどんなにアクセルを踏んでも、空気と燃料が14.7:1という比率は変わりません。ガソリンエンジンはアクセルをガバッと踏めば、空気と燃料は同じ比率で同時に増えて出力を出します。ところがディーゼルの方は、アクセルをいくら踏んでも入ってくる空気量は常に一緒です。そこに吹く燃料の量だけが変わるのです。そうやって出力の差を出している。ディーゼルにはスロットルバタフライが無いので。
F:ディーゼルの方は燃料の濃さを変えるということですか?
高:その通りです。ディーゼルは燃料の濃さにより出力をコントロールします。その考え方からまず教えていかないといけないので。
F:メカニックでも知らない人がいるのですか。
高:いますいます。今まで触ったこともないのですから、それは仕方がありません。
F:整備の上でガソリン車との大きな違いはありますか? 特に壊れやすい部分とか、チェック項目が多いとか、そういうことはありますか?
高:まずディーゼルの方が壊れやすいということはありません。チェック項目は、点火プラグがない分、ディーゼルのほうが少ないくらいです。
F:それでは整備する側としては、これからディーゼル車が増えるからと言って、特に技術的に大変になるとか、そういうことではないと。
高:ガソリンと比べて特に難しいことはありません。ですが、今まで触る機会が少なかったのに、ここへ来て急に増えてきたものですから、勉強するべきことはたくさんあります。新しいことが増える分、現場の方としては確かに負担が増えることになります。
F:今までとはまったく違うことを学ぶような感じですか。
高:そうですね。そう考えていく必要があります。
ガソリン車をずっとやっていると、どうしても長年染みついたガソリンの感覚というものがありますから、その感覚のままディーゼルの整備をしてしまうと、妙なことになってしまう。やはりディーゼルの考え方はまったく違いますので。もしエンジン不調が発生した時には、どこからどう考えていけばいいか。ガソリンとディーゼルは、そもそもまったく違うものだという意識の下でやっていかないといけません。
VW排ガス問題の影響は全くありません
ガソリンとディーゼルはまるで違うもの。そういう意識で整備していかなければならない。なるほど。乗る側としては入れる燃料くらいしか変わらないのだが、整備をする側は大違いのようだ。まるで別物としてイチから勉強しなおさなければならないのだ。
そうそう。ディーゼルと言えばフォルクスワーゲンの排気ガス偽装問題。
この話を避けては通れない。あの問題により、ディーゼル全体のイメージが低下してしまったのではないか。日本におけるBMWへの影響はどうなのだろう。
F:これは星川さんに伺います。VWの排ガス偽装問題以降、BMWのディーゼル車の売り上げはどうですか。「やっぱりディーゼルはあかん」、とキャンセルが出たり売り上げが落ちたということはありませんか。
星川(以下、星):それはまったくないですね(きっぱり)。実態として数字はまったく落ちておりませんし、VWさんのあのスキャンダルがあったからといって、来年度以降のディーゼル車の展開を見直すとか、そんな話も一切出ていません。
ディーゼル車に関してはあまり心配していません。むしろ今後はディーゼル車のモデルを拡充していく方向で考えています。ちなみにいま日本で売れているBMWのおよそ3割、いやもう少し多いかな。35%ほどがディーゼルエンジン搭載車です。
F:日本で売れるBMWの35%がディーゼル!そんなに!これは比率で言うと輸入車ブランドの中でナンバーワンでしょうね。
星:そうなると思います。モデル数で言うとメルセデス・ベンツさんの方が多くなると思いますが、販売比率と販売台数ではBMWの方が多いと思います。
F:しかし35%とは驚きました。ワールドワイドだとどうでしょう。これがさらに多くなるのでしょうか。
星:実はあまりかわらなくて40%くらいです。ただこれは国と地域により大きく異なります。ヨーロッパだと80%くらい。逆にアジアだとまったく販売していない国もありますので。
セレナやオデッセイからの乗り換え
F:国内でディーゼル車の比率をどれくらいにしていきたいという目標値はありますか?
星:特にありません。ありませんが比率は今後どんどん上がっていくと思っています。モデルよっては現在も……例えばSUVのX3やX5は、既に販売台数の8割がディーゼル車なんですね。グランツアラーも8割がディーゼル車です。
F:お客さんはどこを評価してディーゼル車を選ぶのでしょう。
星:いろいろあると思いますが、エコカー減税対象ということは大きいでしょうね。特にグランツアラーが一番象徴的ですけれども、国産からのお乗り換え、プラス初めてクルマを買うお客さまの比率が85%もあるんです。
F:つまり新規顧客比率が85%!ひょえー!すごい。
星:お乗り換え前のお客様のクルマは日産さんのセレナがナンバーワン。次いでホンダさんのオデッセイです。
F:価格帯はかなり離れていますよね。軽くプラス100万円にはなるでしょう。
星:はい。ですがこちらはナビゲーションや自動ブレーキ、それにLEDのヘッドライトも標準です。さらにバックモニターも標準でついています。セレナやオデッセイで同じ装備を加えると、やはり300万円を超えてきます。減税やディーゼルであることによる燃費のメリットを考えると、価格面でも十分に比較の対象になり得るということです。
F:なるほど。いまやBMWも国産ワンボックスと価格で比較する時代になったんだ。
星:そうですね。ドライバビリティを売りにするだけでなく、価格で比べていただいても十分に対抗出来るようになりました。
酷いんですよこの人は
F:高橋さんに伺います。ディーゼル車を乗るに当たり、特に気をつける点はなんでしょう。実は私、ディーゼルエンジンのクルマを買ったばかりでして….
高:当社のディーゼル車ですか。それはありがとうございます。
ADフジノ:酷いんですよこの人は。メルセデスのディーゼルです。それをBMWの方からアドバイスを受けようなんて(笑)。

高:それでは次回はウチのディーゼル車を買って頂けるという前提で(笑)。……と言いましても特に気をつける点はありませんね。ごくフツーに乗って頂ければ。ただディーゼルエンジンはオイルと空気が肝心ですから、そのメンテだけは怠りなくやってください。
F:オイル交換とフィルター交換をきちんとやること。やはりオイルゲージはマメにチェックしたほうが良いのですか。
高:ベンツさんもそうだと思うのですが、今のクルマはほとんどオイルゲージが付いていないんです。メーターにオイル交換のサインが出ますから。それまでは何もしないで結構です。キャップを開けると埃が混入したり、空気と触れてオイルが酸化したりする可能性がありますので、ユーザーがご自身でお開けることはなるたけ避けてください。
F:勝手に前を開けない。なるほど。
高:そうそう、フェルさんはよくスキーに行かれると仰いましたよね。スキー行かれるときは東京から満タンにしないで出掛けてください。そして高速を下りたら。地元のスタンドで軽油を入れること。これは大切です。
東京のスタンドと寒冷地のスタンドでは売っている軽油の組成がぜんぜん違うんです。東京で入れた燃料のままで停めておくと、燃料が凍ってしまう可能性があります。これは冗談ではなく本当に起きるんです。お恥ずかしい話ですが、当社のメカニックで一人凍らせてしまった人間がおりまして……(苦笑)。
お湯をかけたりして大変な苦労をしたそうです。お湯を用意できる場所だから良かったですが、山奥で凍ったりしたら、本当に死活問題です。
F:はー。軽油は現地で。なるほど。
高:全部じゃなくていいんですよ。東京の燃料と混ぜるだけで大丈夫です。ディーゼル車に乗っている人は、寒い所に着いたらなるべく早目に“地元燃料”を入れたほうが良いですね。ガソリンの場合はこの限りではありません。
結局は「人の手」で違いが出る
F:最後にちょっとメカニックの方のご意見を伺いたいのですが、BMWの“良さ”の秘密はどこから生まれているのでしょう。ドライバビリティの高さ、FFなのにあのFRっぽい乗り心地とか、どのようにして生まれているのでしょう。
高:うーん。難しい質問ですね(笑)。セッティングというか、もう本当に最後の味付けの部分がウチは上手いんだと思いますね。実は技術的には、今どこもほとんど横並びなので。
F:味付け、ですか。
高:そう。味付けです。フェルさんはFFなのにFFの癖が出ていないと言いましたが、そこはやっぱりサスペンションのセッティング次第なんですよね。BMWだけが特別なサス構造な訳ではなく、技術的に突出したものもあまりないので。
F:それはセッティグということですか。最後は人の手で決まるということですか。
高:そうです。最後は人の手です。
星:BMWのブランドスローガンは御存知の通り「駆けぬける歓び」です。
それを実現するために、FFだろうが、FRだろうが、4駆だろうが、自然吸気だろうが、ターボだろうが、それはいろいろ時代背景とかお客様のニーズによってベストなソリューションを採用します。最終的には「駆けぬける歓び」、人がどう感じるか……ですから。乗っていて楽しいかどうか。それを実現するのがBMWです。BMWのフィロソフィーの下でクルマを造り込んでいる、というのが他社さんとの違いとなって現れているのだと思います。
F:最後は人に依存かぁ。一見いい話に聞こえますが、半面ヤバい話でもありますね。味付け係のマイスターがヘッドハンティングされてしまえばひとたまりもない。
高:もし、引き抜かれたら、それはそれで仕方のないことなのでしょうけど……。
F:半導体なんか酷いですよ。もう会社ごととか事業部ごととかゴッソリ入れ替わりますから。銀行と一緒で、もう会社の名前を覚えられません(笑)。自動車メーカーも、コワイですね。
最後は意外な方向に話が飛びましたが、お楽しみ頂けましたでしょうか。次回もディーゼルのクルマに乗る予定でいます。
お楽しみに!
激震…フォード撤退とトヨタのダイハツ完全子会社化
こんにちはADフジノです
先週は自動車業界にとって激震の1週間でした。
まず米フォード・モーターが2016年内に日本市場から撤退すると発表しました。2015年1〜12月のフォード・ジャパンの販売台数は4968台。日本で販売される輸入車ブランドとしては12番目であり絶対数は多くはありませんが、2015年も対前年比103.9%、販売台数は6年連続で右肩上がりでした。
しかも昨年はマスタング、そしてエクスプローラーと、フォードの看板モデルが新型にモデルチェンジしたばかりだったというのに…。

実は日本におけるフォードの歴史は戦前にまで遡り、1924年に日本フォードを設立、なんと日本に工場をもち翌年から組立生産を開始しています。1980年代はマツダとの提携によりオートラマを設立、1997年にフォードセールスジャパンへと社名変更。その後1999年、いまのフォード・ジャパン・リミテッドが設立されています。
フォード・ジャパンは撤退後もアフターサービス、パーツの供給を続けるようですが、しかし、マスタング、エクスプローラーが日本市場からいなくなってしまうのはなんとも寂しいものです。日本法人はなくとも、どこかの販売店が引き続き代理店としてこれらのモデルの販売を継続してくれることを願うばかりです。
続いて、先週金曜日の夕方、トヨタ広報部から以下のような1通のメールが届きました。
「【本日19:30】トヨタとダイハツ共同記者会見のご案内」
事前に報道されていましたが、トヨタがダイハツを完全子会社とすることで合意したと正式に発表されました。計画では2016年8月に、トヨタがダイハツ株を自社株に交換する方式で全額出資とするといいます。

トヨタとダイハツの提携は1967(昭和42)年に始まり、すでに50年にもおよぶ提携関係があります。1998年にはトヨタが51.2%に出資を引上げ、ダイハツを子会社化。今回の完全子会社化による3つ狙いをダイハツの三井社長は以下のように説明していました。
その1「小型車戦略」
これまでダイハツが国内外で手掛けてきた、ブーン/パッソ、セニア/アバンザのような姉妹車よりも、デザイン・仕様をより差別化。ダイハツブランド・トヨタブランド、それぞれの個性が際立つ、「もっといいクルマ」を提供する。
その2「技術戦略」
次世代技術で世界をリードするトヨタと、技術の小型化・低コスト化が得意なダイハツが、将来の技術戦略を、その初期構想段階から一緒に作り上げる。戦略を共有する事で、小型車や軽にも次世代技術をよりタイムリーに、より低価格で搭載できるようになる。
その3「事業戦略」
新興国においては、ダイハツが主体となって、事業を展開していく。そのカギとなるのは、スピードと効率であり、両社のものづくりの基盤を相互に活用し、事業の立案から開発・調達・生産に至るプロセスを、より迅速に、より効率的に進めていく。
ちなみに豊田社長は、トヨタ、レクサスと並ぶものとして“ダイハツ”ブランドは絶対になくさないと明言。また三井社長はダイハツを“BMWにおけるミニ”のような存在にしていきたいと語っていました。
“選択と集中”。豊田社長は何度もこの言葉を使っていましたが、マツダやスバルとの提携など、こだわってきた自前主義を捨て、変わりつつあるトヨタの今後に注目です。
ちなみに豊田社長が、ドライバーモリゾーの立場として好きなダイハツ車は、「ある意味脅威で、軽ってすごいなと思わせられた」、ミライースだそうです。
2pの囲み記事末尾、「今の形のコモンディーゼルを完成させ、市販に結びつけたのは我が日本のデンソーである。そして世界初のコモンディーゼル搭載車はいすゞのトラックである。走れ走れ、いすゞのトラック♪」を、「1995年、デンソーがトラック用「コモンレールシステム」の量産化に世界で初めて成功、それを搭載したのが日野のレンジャーだった。」に訂正しました。本文は修正済みです。 [2016/02/02 9:00]
この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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