1976年に出版された『間違いだらけのクルマ選び』。77年に出た続編はその年の書籍販売部数第1位を記録。2冊合わせて累計120万部を売った(上)。昨年末に出版された『2016年版 間違いだらけのクルマ選び』(下)

F ところで、この本にもありましたけど、自動運転について考えると我が国は遅れているんじゃないですか。日本のクルマって、オートストップは進んでいるかもしれないけれども。

 でもね、実際にテスト車両に試乗してみると考え方はすごいまともだなと思いました、トヨタも日産も。やっぱり最先端を行っていると思いました。

 ただ、あまり今から期待し過ぎないようにとは思っている。現状のテスト車両のセンサーやカメラの数や制御ではまだ完全自動は無理だなと。

グーグルカーを止めるいたずらが流行中

F 今ね、僕の本業の支社がシリコンバレーにあって、グーグルカーが本当に動いている。中に人が乗っていて、これ見よがしに雑誌とか読んでいるんですよ。それを子供たちが止める遊びがはやっている。交差点で「STOP(ストップ)」と書かれた看板をこうやってばっと上げて、そうすると車は止まっちゃう。

 認識して止まっちゃう。

F クルマが止まって、子供がクスクスやるという。後ろのクルマは普通のクルマだから、「早く行けよ」とブーッてクラクション鳴らす。そんないたずらがはやっていて(笑)。ばかだな、グーグルカーはという話なんですけど。でも止まらざるを得ないですよね、怪しいやつは。

 そう。だからまだそんなレベルだから、まあ、本当の自動運転には相当時間がかかると思いますよ。

F かかりますよね。いろいろな法律を作らなきゃいけないし、決まり事もね。

 今よく言われるのは、どっちの責任なのか。クルマの責任なのか、ヒトの責任なのか。

 どこかのメーカーの人と話していたら、ちゃんと車にブラックボックスを付けるから大丈夫だと言うんですよ。それはどういうことかと言ったら、ヒトじゃなくてクルマが悪いんだということはちゃんと実証できるというわけ。まあ、そうかもしれないけど、人をはねちゃった後にそれを言われても嫌だよなって。俺の人生、そのトラウマを背負って生きていくんだよなと思うじゃないですか。

F でもどうでしょう、割と簡単に人間より優れた能力は出せるようになるんじゃないのかしら。

 そうなれば、クルマだけってわけにはいきませんよね。そのときの世の中すべてがそういうものにハンドリングされる。僕らの仕事もなくなっているとかね、分からないけど。

F ある日、社員証を会社の認証装置にかざしても門が開かなくなって。何これ、オレ、クビか?みたいな(笑)。

 そうそう。君より賢い人工知能が来たのでって。

 そこまで発達したら、クルマだけにはとどまらないですよ。自動運転を考えると、社会を考えることになる。クルマのことを考えるとやっぱりクルマ単体じゃなくて、世の中のことを考えざるを得ないですよね。軽が何で売れないんだろうというときには、クルマの話だけじゃなくて、やっぱり最近の経済の話とかになるじゃないですか。人の消費行動は、若者はって。

 『間違いだらけのクルマ選び』というタイトルで、クルマを選ぶための本という体なんですけど、そういうふうにいろんな話をするのに役立ててもらえればすごくありがたいです。

F なるほど。これをネタに盛り上がってと。

 そうしてもらえたらうれしいですね。