「実はモビリオでやったんですが、使い勝手に問題が……」
F:シエンタは3列目から2列目に車内で移動ができない?
田:できません。フリードも7人乗り仕様は一度降りないと行けませんが、6人乗り仕様は2列目がキャプテンシート(肘掛付きの1人用セパレートシート)になっていて、間を通って行き来ができます。前・中・後で2:2:2の配列になっているので。
ミニバンを選択する際の1つの大きな要素として、「ウオークスルー」があるのですが、その点で比較すればシエンタは出来ませんがウチは出来る。

F:あれ、だけどシエンタにも6人乗り仕様が有りますよね。
田:6人乗り仕様も有りますが、2列目のシートが互いにぴったりくっついているんです。カタログが有れば分り易いのですが、で、間にトレーのような物が備え付けられているんです。面白いでしょう。

F:マイバッハの後席みたいな感じですか(笑)
田:だいぶニュアンス違いますが、まあ真ん中に物があるという意味ではそうです(笑)。7人乗りと同じシートの骨格を使って6人乗り仕様を作っているということのようです。
F:どうしてそのようなことをするのでしょう。
田:3列目シートの収納です。シエンタは3列目のシートを、折り畳んで2列目のシートの下に入れるんです。我々のフリードは、左右に跳ね上げるのですが、シエンタは下に入れる。ということは、当然セカンドシートの座面の幅よりもサードシートは狭くないといけません。
F:あー。2列目をセパレートにしてしまうと……。
田:そうです。入らなくなってしまう。3列目だって快適に人を座らせなければいけません。そのためにはだいたい400ミリ前後のシート幅が必要です。それをこの2列目のシートの下に入れなきゃいけない。
だから4対6の分割は難しくて、5対5にするしかない。で、真ん中に通路を設けようとすると、入らなくなる。これが理由です。
F:なるほど。ただ、3列目の跳ね上げを選ばなかった分、シエンタの3列目は、荷室として使う場合にはそれなりに広く便利ということですね。
田:それはその通りです。やはり下に収納したほうが、横には跳ね上げるよりもスペースは大きく取れる。ですがこれ、特に目新しい機能ではありません。実はウチでもフリードの先代のモビリオでやっているんです。モビリオをご存じですか?
F:あの電車みたいなカッコしたクルマですか。
田:電車……まあそう言えばそうかな(苦笑)。ホンダでもあれで同じことをやっていたんです。ですがいろいろと使い勝手上での問題があって…。

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