大きなフェイスリフトを施すこと無く、延々と安定して売れてきた、ホンダ国内販売の優等生フリード。ガチンコで対するは、もちろんトヨタのシエンタである。

 今ではすっかり見慣れてしまったが(慣れというのは本当に恐ろしい)、一昨年にシエンタが出たときは、「ここでやるか」と本当にビックリしたものだ。一方のフリードはあくまでキープコンセプト。前モデルのデザインを踏襲し、「あのクルマの後継機種」と一見して分かる外観である。

 それではフリードとシエンタはどちらが売れているのか。またエンジニアはそれをどう見ているのか。そして顧客に訴求するチャームポイントはそれぞれどこに有るのか。まずはその辺りからお話を伺おう。

 インタビューに答えてくださるのは、フリードの開発責任者、四輪R&Dセンター LPL 主任研究員の田辺 正さんである。


「シエンタとの一騎打ちです」

四輪R&Dセンター LPL 主任研究員の田辺 正さん。

F:はじめまして、フェルディナント・ヤマグチと申します、今日はよろしくお願いします。

田辺さん(以下、田):こちらこそ、よろしくお願いします。

F:フリードに一週間ほど乗らせていただきました。ホンダらしいカチッとした仕上がりで、失礼ですがミニバンらしからぬ、とてもいいクルマだと思いました。

:ありがとうございます。

F:このクルマとライバルとなると……。

:それはもちろんトヨタさんのシエンタです。シエンタとの一騎打ちです。

F:シエンタのみですか。日産のキューブとかどうですか。他に比較されるクルマは有りませんか?

:クラス分けするとキューブも同じクラスになりますが、もう長いことモデルチェンジもしていませんし、販売の現場で比較されることはまず有りません。シエンタの他に現場で名前が出るとしたら、そうですね、スズキさんのソリオなんかを言う人はいらっしゃいますね。

F:発売されてから、数字の方はどうですか。新車効果でシエンタに勝っているのですか。

:台数的な話ですか。台数的には、やっぱりトヨタさんは営業力があるので、毎月月末に逆転されるという状態が続いています。

F:月末に、ですか。毎月?

:はい、毎月月末に逆転されます。終盤までウチの方の数字が勝っていて、〆てみるとアレ?抜かれている、と(苦笑)。やはりトヨタさんはいろいろ努力されているのだなぁ、と。

F:販売店の数の差はどれくらい有るのですか?ホンダとトヨタは?

:3倍ですね、トヨタさんはウチのおよそ3倍の店舗数です。

F:3倍も、そんなに違うんだ……。その3倍のお店が、一斉にソレっとシエンタを売ることになったら、そりゃ敵いませんよね。

:先月末(インタビューは12月だから11月実績)なんか、28日まで400、500台勝っていたんですよ。それが月が明けて〆の数字が出てきたら、コロッと逆転されていたと。

F:どわー!たった2日で大逆転。

広報女性:本当に僅差で。悔しいです。