藤:絶対に成功しないですね。もちろんVISION COUPEみたいな、フェルさんが欲しいようなクルマは別ですよ。こういうクルマは、逆に言ったら値段を高く付けないといけません。プライスがメッセージですから。
F:プライスがメッセージ。なるほど。
Y:買うんですよね、高くても。さっき言いましたよね。
F:え?……うん……まあ、値段によるけど。
Y:工場まで取りに行くんですよね! 言いましたよね! 原稿も掲載日の2日前に入れると言いましたよね! 一度言った約束は守れ!! このウソツキめ!
F:まあまあ落ち着いて。
藤:我々が造っている普通のクルマは、そこまでバーンと、例えばゴルフとかボルボとかと同じ値段で売ったとしたら、今はまだ難しい。さっき話に出た、3列SUVのCX-8でも、あれで400万円(編注:価格帯は319万6800円~419万400円)ぐらいですからね。
F:あんな立派なクルマで400万ですか。そりゃお買い得。
藤:そうでしょう。そういう「お買い得」という反応になるでしょう。これが今我々が置かれている立場です。ボルボとかBMWと比べると、お買い得だね、と。
F:うーむ……。
藤:だけど日本のブランドとしてはどうか。国産のクルマのお値段を見慣れた、普通の今までのお客さんからすると、マツダはちょっと高いね、となる。一方で、輸入車視点の人たちから見ると、あれ、安いね、となる。そこがちょうど今ウチが置かれている状況です。そこが今我々が唯一入っていける場所であり、そこから少しずつでも価値を高めていくことができればと思っています。
フェルさん、それだけはない。マツダにはいらない。
F:へー。あ、それなら別ブランドにするというやり方もありますよね。マツダはレクサスのようなプレミアムブランドを作らないのですか?
藤:ない!(キッパリ)
F:ずいぶんハッキリおっしゃいますね。ないと断言なさいますか。
藤:ない。いらない。
F:いらないですか。そうかなぁ。
藤:プレミアムをやるならマツダのブランドでそのままやります。プレミアムブランドは、何しろ昔、それで失敗しているので。
F:あー……ユーノス……アンフィニ……。
藤:二度とやらない。あれの解消に30年かかったんですから。二度とやらない。
F:マツダの黒歴史……。
広報小林嬢:黒歴史とか言わないでください!

F:トヨタのレクサスも、ようやく国内で勢いが出てきました。利益も出てきました。それを見ると、お、良いな、ウチももう一回やってみるか、と思いませんか? ユーノスがコケた頃とは背景が違いますし、ジャパニーズプレミアムに対する国内市場の受け取り方も違うでしょう。
藤:いや、思わない。やっぱりそれはトヨタさんだからできたことです。我々もあのとき大失敗をして、本来誇りであるべき自分たちのマツダブランドをわざわざ隠そうみたいなことまでやって。でもそれは大間違いで。やっぱり自分たちが作ってきたブランドを、大事に大事に育てることの方が重要だと思います。
F:なるほど。
藤:だから、マツダがセカンドブランドとか、あるいはディフュージョンブランドをやってはいけないと思っています。これからは絶対にないです。
F:いいですね。明確でとてもいい。
失敗を素直に認め、次につなげる。
他で流行っていても、やらないものはやらないとキッパリ言い切る。
そして自分を育ててくれたブランドを、大事に大事に慈しみ育んでいく姿勢を明確に表現する。リーダーかくあるべし! 大明神ここにあり!
編集部とは5回ということで握っていたのですが、みなさまどうしましょう。
コメント欄の書き込みが盛り上がったら続けます。そうでなかったらこれでオシマイにして、次の試乗に行こうと思います。
それではみなさま、アディオス!
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