F:確かに街でマツダのミニバンを見ることは多くはないですものね。やはりあの三社の壁は高いですか。あまり売れなかった?

:売れないです。あの三社が非常に強い。ミニバンの壁は高く厚いです。

F:「あの三社のミニバン」、というと、ノア・ヴォク、セレナにステップワゴン、か……。

マンちゃん:最強ですよ。どこも販売に超気合いが入っているし。CMでもよく見るでしょう。

:強いですよこの3つは。どうやっても闘えないです。でもどちらかと言うと、ミニバンは「お父さんが運転手」的な位置付けになってしまうケースが多いですよね。自分の愛車として持つなら、自分が運転するのが楽しいクルマの方がいいじゃないかと。

F:ミニバンから撤退して大型SUVにシフト、というのは、そうした背景があったのですね。

:そこが(多人数乗車の市場に対して)唯一我々が打てる手、ということなんです。

F:ミニバン乗るくらいなら、CX-8に乗ったほうが絶対カッコ良いものね。

:そう。それが我々の回答です。単に人や荷物を運ぶのではなく、単に移動の手段ということではなく、所有する価値のあるクルマ、運転する喜びのあるクルマ。オーナーズカーとしての我々の回答がこれです。

F:俺はミニバンは死んでも買わないけどね。絶対にない。

Y:よしなさいよ。大好きな愛車がミニバンの人はたくさんいるんですよ。そんなこと言うから嫌われるんですよあんた。

F:嫌われても買わない。

Y:あくまでコイツの私見ってことでお願いします(涙)。

マンちゃん:でもまあフェルさんがミニバン乗るのは違和感あるなぁ。なんか似合わなさそう(笑)。

「今はマツダが生きるか死ぬかという状況」

:そういうことを考えると、今のうちに本当にマツダというブランドをそちらの方向にガッと持っていけるかどうかで、それこそマツダは生きるか死ぬかという状況にあるという認識です。オーナーズカーのブランドとしての確固たる地位を、今の時期にキチンと築いておかなければイカンと思っています。

F:その流れからいくと、次はマツダが満を持してのFR車投入、ということですね。FRは出すのですか?

:またウマいところをズバッと突くね。ノーコメントです(笑)。

F:ロータリーエンジン搭載でFRのプレミアムなスポーツカーをマツダが出してくれたら、僕は高くたって絶対に買いますよ。これは工藤さん(工藤秀俊執行役員、元広報本部長、現執行役員R&D管理・商品戦略担当、商品戦略本部長)にも言っていますが、広島の工場まで自分が取りに行きます。工場からそのまま東京まで乗って帰ります。

Y:工場から出たばかりじゃ、ナンバー付いてないから乗って帰れませんけどね(嘲笑)。

F:なんで夢を壊すような話をするんだよ! 仮ナンでも何でも良いじゃないの! それじゃFRは頑張って開発していただくとして、マツダが、オーナーズカーブランドとしての確固たる地位を築く。これはなかなか難しいお題目ですよね。一筋縄ではいかないというか。

:うん。難しい。

Y:確かにそうですよね。自分でカーシェアの会員になってみると「これから、クルマでの移動を安く上げようと思えばいくらでも安く上げられる世界がどんどん広がっていくんだな」と実感します。その中で、自分のお金で駐車場を借りて、税金と保険料を払って、ガソリン代も払って、それでも買おうという人を相手にして、さらに成長もしようというのですから。

F:一方で、足元の国内市場では輸入車が確実にシェアを上げてきています。何しろ輸入車ナンバーワンがメルセデス・ベンツという国ですから。藤原さんのおっしゃる、「所有する価値のあるクルマ、運転する喜びのあるクルマ」、となると、ライバルが多い。

:ええ、我々はまだそこまでは上がっていない。輸入車の価格と比べると、まだまだ相当低いところにいる。そして、そこがたぶん我々が今生きていけるところだと思っています。値段を上げますか? と聞かれて、ただちに「イエス」と言わない理由は、今のままで彼らと同じレベルに値段を上げても、絶対に成功しないと思っているからです。

F:急に値段を上げても成功しないですか?

次ページ フェルさん、それだけはない。マツダにはいらない。