トヨタとマツダの資本提携。お互いに何が狙いなのか。これから何が生み出されるのか。
 新聞では決して読めない“マツダのホンネ”に切り込んで行こう。前回(こちら)からの続きです。


:そうそう。何しろリーディングカンパニーだから大変です。そこにグーグルだアップルだと異業種が、次のモビリティーを真剣に狙ってワンサカ来ている。それに対する手も打たなくちゃいけない。これは彼らにとって、脅威であり恐怖です。でも我々はどちらかと言えばMaaSみたいな世界は放っておいてもええわけです。オーナーズカーだけ考えていれば良い。

F:なるほど。トヨタと比べれば、少しは気が楽ですね。

:とはいえ、そのオーナーズカーの市場は、ヨーロッパのエスタブリッシュされたブランドがたくさんある中で、どうやって生き延びていくんだ、ということを考えなければいけません。下へ降りれば降りるほど、今度は絞め殺されてしまうので。

F:し、絞め殺される……。それはどういう……?

 先週はここまでお話した。良いところで切ってしまい申し訳ない。それでは早速、藤原大明神こと、藤原清志マツダ取締役専務執行役員(研究開発・MDI統括、コスト革新担当)のインタビュー、続きをどうぞ。

:上の方にエスタブリッシュされたブランドがあって、下の方にノンプレミアムな、一般向けのクルマがあるとする。ノンプレミアムの市場はどんどんシェアリングの方に向かっていくでしょう。すると、オーナーズカーとして所有していただくには、クルマとしての価値がなければいけません。そうしなければ、我々は生きていけない。

F:なるほど。安価で買い求め易いクルマはメーカー間の価格競争や、カーシェアリングに喰われてしまうと。するとこれからのマツダのクルマは、よりプレミアム感を持った方向に行く、ということですか。

:プレミアム感と言っていいのかな。オーナーズカーとしてお客様に買っていただけるような、所有していただけるような価値を持ったクルマにしなくちゃイカンということです。

F:イコール、もっと価格の高いクルマ、ということでしょうか。高級路線を目指す?

:そうではありません。例えば……デザインのうんと優れたクルマです。今の我々が、どうしてこれだけデザインにこだわり抜いているのか。凝りに凝っているのか。やっぱり我々が生き残っていく方向は、それしかないと思っているからです。東京モーターショーに出展した“マツダ VISION COUPE(ビジョンクーペ)”。フェルさんにも見てもらいましたよね。やっぱりあのデザイン、欲しくなるわけですよ。僕らは会場でお客さんの流れを観察していたのですが、みんな足を止めて、「おっ」という顔をして興味深そうに見ているわけですよ。これが写真です。良いでしょう?

F:なるほど。こうして改めて見ると確かにカッコいい。ここの膨らみの部分とかすごい。ちょっとエロくて良いや(笑)。

「買ってもらえる」クルマになるには?

:このテのデザインをやろうとしているのは、やっぱりみなさんに所有してもらいたいからです。このクルマにシェアリングで乗ろうという人はまずいないでしょう。何か物を運んで、ここからここまで移動できれば良いやという人は、デザインよりも容量じゃないですか。普通にハコの格好をしていれば十分じゃないですか。

F:確かに。おっしゃる通りです。

:となると、やっぱり我々はまず、デザイン性を高めていかなければイカンのですよ。生き残っていけんのですよ。

F:マツダがミニバンから撤退したのも、その理由からですか?

:それもあります。ミニバンでも挑戦はしたんですよ、プレマシーとかビアンテで。

F:プレマシー。すごく良かったですよね。虫谷さんの骨太講座でも使ったし(こちら)。ミニバンらしからぬ足回りですごく良かったのに。僕はミニバンを買いたいと相談してきた友人に、何台か薦めましたよ。店でもう売っていませんと言われたらしいけど(実話)。

マンちゃん:ビアンテもおもしろいクルマでした。ヴォクシーやセレナなどと同じ2Lハイト系のミニバンですが、ライバルよりも全幅を広げ(1770mm)、完全な3ナンバーにしたことで室内空間に余裕がある。デザインもアヴァンギャルドでした。実はマツダのミニバンはかなり挑戦的でしたよね。

:挑戦したのですが、やっぱりダメなんですよ。トヨタとホンダと日産の壁は壊せないですよ。

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