:ああ、あれね。別にウチは気にしませんけどね(笑)。

賢明なる読者の皆様、これはフェルさんの指示による悪質なヤラセ写真です。信じて下さい!(Y)
賢明なる読者の皆様、これはフェルさんの指示による悪質なヤラセ写真です。信じて下さい!(Y)

マイトのY:あれは……あれはその……どうして今更その話を蒸し返すんですか……。

F:守衛さんが露骨に嫌な顔をしてたよね(笑)。

:Yさんも交代早々に大変だねぇ(笑)。まあそうやって設備を汎用機にして、同じ機械でいろんな部品を作れるようにしてしまおうと工夫をするんです。アッセンブリー工程も、同じ設備でフレキシブルに組み立てられるようにするわけです。そうすると、後で部品が変わっても設備投資は抑えられる。これがモノ造り革新、一括企画といわれているものです。これが実現すると、少量生産でも1つの設備、もしくは1.2の設備で5種類も6種類も作れるようになるんです。

トヨタがマツダ流を採り入れる意味、あるの?

F:なるほど、なるほど。でもこのお話は、トヨタをはじめ大メーカーには理解し難いというか、彼らには当てはまらないことですよね。だって、例えばトヨタは世界一の大量生産の会社なのですから。一つのクルマを何十万台も作るとなれば、トランスファーマシンだって専用に作る価値があるわけで。

:そう、トヨタはカローラだけでもバーンと40万台も造っていた会社です。ただ、今はなかなかそうも言っていられないことになっているんです。というのも、もともと日本でカローラを造って、アメリカに輸出する、ヨーロッパに輸出する、アジアに輸出するとやっていた。それじゃいま、日本の工場ひとつでカローラを20万台造れますか、と言ったら。

F:造れませんか?

:造れませんよね。だって売る市場がない。今は売れるクルマを、その市場に近い工場で作るようになっている。

F:なるほど。現地生産が進んで……。

:そう。いま日本で作って売ることだけを考えると、実はすごく少量生産の多品種になっているんです。

F:それじゃこれからはトヨタも“マツダっぽく”やらなくちゃいけないところが出てくるんですね。

:そうです。人口が減少し、少子高齢化が進む我が国において、これから自動車の販売台数を飛躍的に伸ばすことは難しいですから。

F:トヨタも少量多品種生産の必要性が増してきた。その傾向は今後ますます強まりますね。だとしたら、天下のトヨタもマツダから学ぶべきことは多いはずで。

:そうなるはずです。お客さんも多様化しているし、流行りのクルマもミニバンになったりSUVになったりして、もう「これで決まり!」というのは無いじゃないですか。でもウチは何が来ても、何が増えても、同じラインで造っているので稼働率は一定なんですよ。台数が変化しても、お客さんの好みが変化しても、全部オッケーなんです。

F:じゃ、トヨタも、マシニングセンターを並べるというマツダ方式を始めているのですか?

:いえ、そうは言ってもあちらはまだまだ生産台数が大きいので、今すぐそうする必要は無いんです。ただ、将来を見たらそこまで考えなくちゃいけないよね、あるいはいろいろと開発する案件が増えているので、開発投資を下げる工夫をしたいよね、という話は絶対に出ているはずなんです。例えば「タイ向けのエンジンの適合開発です」「日本向けのエンジンの適合開発です」ということを個別に進めていったら、ものすごいマンパワーが必要になる。それをさっき言ったような開発工数を下げる方法でやれば、タイであろうが日本であろうが、残り10%をチョロチョロっと直せば、簡単にドーンと行けちゃいますよね。ドーンと。

F:タイと日本と同じクルマではダメなんですか。わざわざ分けるから面倒なことになるので、最初から一緒のクルマを売ってしまえば良いと思うのですが。

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