昨日はいいところで切ってしまい失礼いたしました。
 まずはその尻切れトンボの続きの部分から始めましょう。

F:どうして連続ヒットが出せるのですか? マツダは。(豊田)章男(トヨタ社長)さんじゃなくてもお聞きしたいです。一言では言い表し難いでしょうが。

:言い表しにくいですけど、まずは……。

F:まずは……?

:まずは「一括企画」です。「共通化」ではなく一括企画。今まで自動車メーカーは、ずっと部品の共通化を指向してきました。例えばゴルフとパサートで何パーセントが同じ部品、とかね。

F:共通化を進めたほうが、より合理的にクルマを作れますよね。

:同じ部品を使うのが共通化。一方の一括企画、就中「コモンアーキテクチャー」では、部品そのものは違います。部品そのものは、少し伸びたり板厚が厚かったりして形は違うんですけれども、構造的には同じものを作る。そうするとコンピューターでシミュレーションをするときに、いくつもモデルを作る必要がなくなる。(基本のモデルに)少し編集設計をするだけになれば、結果的に開発効率がよくなるわけです。数が増えても効率的に作っていける。

F:なるほど。

:効率的にできるもう1つのポイントは特性です。これも重要です。エンジンの燃焼の波形がありますよね、それを1.5リッターでも2リッターでも2.5リッターでも……排気量が変わっても同じにできる。全て同じ波形で燃焼するんです。それを使って、その後ずっと適合開発をしていけるんです。適合開発をする制御系のシステムはほとんど全て一緒です。

F:ほとんど全て一緒。具体的に、どれくらい一緒なのですか?

:1つの制御システムをつくるとき、90%ぐらいまではほとんど一緒にできます。1.5リッターも2リッターも2.5リッターも、残り10%だけをチョロチョロっと変えるだけで出来上がる。

F:圧縮比まで一緒にできるのですか?

:圧縮比は変えます。ポートの径とか角度を変更して、特性を合わせるために圧縮比は変えます。

F:ポートの径と角度を変えるとなると、結構な設計変更に適合変更とか……になりませんか?

:ええ。だから、物は全部違うんです。物は違うんですが、今までは設備投資を抑制しようとしていたんです。でも今は違う。今は開発投資を抑制するんです。

F:開発投資を抑える分、設備投資が増えても構わない、ということですか?

開発投資も設備投資も抑えるには

:設備投資が増えてもいい、と思うじゃないですか。でもそれでは商売にならない。こっちを下げたから、こっちは上げても良いよね、という話にはなりません。それじゃ設備投資はどうやって下げるのか。例えばエンジンのブロックを加工するとする。ブロックは排気量や形式によって全然違います。でも、工作機械がブロックをつかむところだけは一緒にしてやる。1.3リッターも1.5リッターも、加工機がつかむところは一緒です。削っている場所は全然違うんだけど、つかむ場所は一緒。するとどうなるか……。

F:あ、全部同じ装置で加工できるようになる。マツダは専用機ではなく、汎用のマシニングセンターを並べて使っているから、違う品物が流れてきてもプログラムを変えるだけでどんどん加工することができる。

:そう。設備が全部(のエンジンに)使えるんです、ウチはマシニングセンターだから。これしか加工できません、という専用のトランスファーマシンじゃないから。

F:3年前に工場で見せていただきました。マイトのYがマツダの工場に他社のレンタカーで乗り付けたときに(笑)。

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