F:私、去年の11月にオランダに行ったのですが、仰る通りEVだらけでした。リーフとかテスラとかが本当に多い。給電スタンドが普通にレストランのパーキングに付いています。オランダは今までZEVに対して優遇措置を取っていましたが、これからは普通のクルマに対して締め付けを厳しくする、とのことでした。
藤:そう。皆さんそうやって締め付けを強めたりするので、米国でも欧州でもやっぱりEVは必要になってくるんですよ。販売する地域によっては、何とかEVを出さなくちゃいけないのは事実です。でも、我々が本格的に会社を挙げてEVをやらなくちゃいけないのかというと、それはそうでもない。
F:先程(前回)お話いただいた、複数の会社で組んでやる、ということですね。
藤:そう。複数の会社が集まって数を作ったほうが良い。皆さん別個にやることでもないでしょう、と。
F:例えばアメリカで売るときなどは、OEM供給を受けて売る、ということもあり得ますか? 他社のクルマにマツダのバッジを付けて売っても、それはカウントされるのですか?
藤:カウントされます。大丈夫。だって誰かが実際に対応車を作って売るのだから。
F:それじゃプリウスにマツダのバッジを付けてアメリカで売っても、それでOKと。
藤:プリウスはダメです。カウントされない。
F:ああ、EVじゃないから。プリウスならPHEVにしないとダメなんですね。
藤:PHEVでもいいんですが、それだとクレジットが少ないです。ピュアなEVの方がクレジットが高い。だいたい4倍くらいになります。そもそもただのハイブリッドではもうクレジットは付きません。PHEVだと、バッテリーだけで走れる距離数でクレジットが変わってきます。
編注:米国カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)が施行する「ZEV規制」では、2018年から年2万台以上を州内で販売する自動車メーカーは、その16%をZEVにせねばならない。ZEVとして認められる車はEV、FCV(燃料電池車)、PHV/PHEV。達成できない場合は罰金が発生するが、規制をクリアしたメーカーから余剰分を「クレジット」として購入することで代替できる。全車EVのメーカー、テスラはこれで巨額の収入を得ている。ZEVとはZero Emission Vehicle、排ガスを出さないクルマのこと。
F:ははあ。ずいぶん厳密ですね。
藤:ええ、PHEVは電動化の距離数が少ないので、ポイントがずっと下がるんです。レンジエクステンダーは電池で例えば100キロ走ったら1.5倍のクレジットとか、いろいろ細かく分類されています。燃料電池車はクレジット9倍になるとかね。
F:燃料電池車はポイント高いですね。それじゃ普通のガソリン車を売るために、燃料電池のクルマをタダ同然で配ってもいいくらいだ。
藤:それはまあ、安くするのも1つの手です。そこが販売とビジネスとの関係で、どうバランスをするか、ということだと思います。
ぼちぼちあの話、行っちゃいましょうか
F:さて、プリウスの話が出ました。EVの話も燃料電池の話も出た。ボチボチ行っちゃいましょう。数ある自動車メーカーの中で、なぜトヨタと提携したのですか?
藤:なぜか。
F:どんな感じで始まったのですか。向こうから言ってきたんですか。一緒にやんない? とか言って。それともマツダからアプローチしたのですか?
藤:いやー。そこの話をするんですか(苦笑)。

F:はい。ぜひお願いします。
藤:難しいですよ。そこは……。
F:話しにくいですか。
藤:そりゃね、話しにくい。
F:そこをなんとかひとつお願いします。サラッと軽くでもいいので。
藤:軽くと言われてもねぇ……。2年半前か、3年ぐらい前ですかね。
F:2年半から3年くらい前。一番初めは何から始まったんですか、トヨタとの関係。
藤:一番初めは、「いいクルマづくりのお話をお互いにしましょう」と、本当にそれで始まったんです。まさにお見合いですね。そこから始まった。その辺は章男さんのお話がいろいろ出ていると思いますが。
藤原さんは豊田章男トヨタ社長のことを「章男さん」と呼んだ。
F:場所はどこですか? 広島の本社へ来たのですか?
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