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 マツダの藤原大明神こと、藤原清志マツダ取締役専務執行役員(研究開発・MDI・コスト革新統括)のインタビュー「藤原大明神新春降臨祭」第二弾。

 前回では、欧州発のディーゼルゲート事件の影響で、何の関係もない、マツダのディーゼルもとばっちりを受けてしまったところまで伺った。それではディーゼルから離れた顧客はどこへ向かったのだろう(前回はこちら)。


F:ヨーロッパではVWに端を発したディーゼルゲート事件の余波で、ディーゼル全体が嫌われてしまった。世界最高レベルのクリーンネスを誇るマツダのディーゼルも、“ディーゼル”というだけで一緒くたにされてしまった。そうした顧客は何に流れているのですか? “それじゃやっぱりガソリンだよね”、とガソリン車に逆戻りしているのですか?

:やはりガソリンの方にザッと流れました。そしてちっちゃいクルマは、トヨタのハイブリッドにダーッと流れました。ハイブリッドはいますごく良いです。絶好調。ヨーロッパでは、今やトヨタで売れるクルマの5割くらいがハイブリッドです。

マイトのY:日経でも「ヨーロッパでは、今やトヨタで売れるクルマの5割くらいがハイブリッド」と書いてましたよ(日経電子版「トヨタ、HV不毛の欧州で快走 販売比率5割に迫る」)。

F:ディーゼルゲート事件のお陰で、トヨタのハイブリッドが売れている。ディーゼルゲート特需。

:その影響が大きい、と言って良いでしょうね。

F:車種で言うと、何が売れているのですか? やはりプリウスになるのでしょうか。

:プリウスもそうだし、ヤリス(日本名ヴィッツ)のハイブリッドとか、他にも例えばRAV4のハイブリッドとかが売れていると聞きます。事件以降、一気にディーゼルが減って、その分が一気にガサッとハイブリッドに乗り換えたので、あっという間に50%を超えたのではないでしょうか。

F:しかし、トヨタのクルマの半分がハイブリッド、というのもずいぶん極端ですね。それまではどれくらいの比率だったのでしょう。

ヨーロッパ、驚愕のHVシフト

:それまでは10%も無かったと思います。巷ではヨーロッパでハイブリッドは、売れない、といわれていたんです。実際にそうだったし。

F:フランスへ行くと、プリウスは結構走っているように見えますが。

:いや、それはタクシーが多いんじゃないかな(笑)。

F:確かに。タクシーが多かったかな。タクシーだけか(笑)。

:シャルル・ド・ゴール空港からタクシーを拾う時、自分の順番が来てプリウスだったらアレって思うでしょう。やっぱりヨーロッパへ来たらこっちのクルマに乗りたいでしょう。空港でパッと来たタクシーが日本で見慣れたプリウスだったら……ねえ(笑)。

F:あー。良い。いいですね。インタビューの最初からオイシイです。今のイタダキです。

マツダ広報 小林 光紗人嬢:あの……。あのですね、プリウスの話は……。

F:しかし意外だなぁ。ヨーロッパの人たちは、もっとクルマに対してこだわりがあるのかと思っていました。ディーゼルがダメならそれまでバカにしていたハイブリッドにホイッと乗り換えるなんて。割りと子供っぽいというか(笑)。

:ははは。子供っぽい、まあね。リセールバリューが直ちに下がったところがヨーロッパ人の知性なのかも知れません(笑)。彼らは次に売ることに対して非常にシビアだし、合理的な考え方がありますから。ディーゼルはもともと「何十万キロ走ってもオーケー」みたいなところがあるじゃないですか、メルセデスなどは特にそうです。雑誌の『オールドタイマー』でメルセデスの所を見ると、「走行距離、たったの20万キロ」とか平気で書いてあります(笑)。

マイトのY:それじゃ私の22年落ちEクラスが13万キロなんてまだまだですね。

:まだまだ。「たった」未満の世界(笑)。

F:僕のGクラスは買ってボチボチ2年になりますけど、まだ1万5000キロです。

:それはヨーロッパへ持っていったらものすごい。普通に新車です。


 私のGクラス、そろそろ嫁に出そうと思います。欲しい方はコメント欄にご連絡を。「普通に新車の、走行1万5000キロ」です。


:で、そこの市場は今やハイブリッドが総取りの状態なんですが、これからヨーロッパの各社がEVをバンバン出してくる。特にノルウェー、オランダなどはもう完全にEVの方にシフトしている。EVに大変な優遇をしているんです。昔アメリカでやっていたようにバスレーンを走れるとか、税金が安いとか、様々な措置がある。