11mの高さから降下訓練

これが噂の訓練塔。C130の胴体部分を模している。11メートルなんて下から見ると大したことはないのだが……。
これが噂の訓練塔。C130の胴体部分を模している。11メートルなんて下から見ると大したことはないのだが……。

 まずは跳び出し塔降下訓練から。この跳び出し塔は、空自が持つ戦術輸送機C130ハーキュリーズの胴体部分を模したもので、塔の高さは地上から11メートルに設定されている。山崎氏によれば、「この高さは人間が一番コワいと感じる高さなんです。100メートルもの高さになると、逆に怖さを感じなくなる」とのこと。

 ちなみにハーキュリーズは米国初のターボプロップエンジン搭載機で、米空軍、海軍、海兵隊のほか、世界各国の軍隊で採用されている名機である。空自仕様は完全武装の空挺隊員を64名も乗せることが出来る(軽装の通常人員なら92名)。

 飛び出しは5つの準備動作を経て行われる。

 1で片手の握り拳を胸に。
 2で反対の腕をクロスする形で胸に。

実際に上ってみると結構な高さである。うーむ、こりゃ落ちたらイタイじゃ済みません。
実際に上ってみると結構な高さである。うーむ、こりゃ落ちたらイタイじゃ済みません。
こちらがホンモノのC-130ハーキュリーズ。国産C-1輸送機の補助用として昭和56年度から導入されている。
こちらがホンモノのC-130ハーキュリーズ。国産C-1輸送機の補助用として昭和56年度から導入されている。

 実際の降下は、高度300メートルの高さを時速300キロの速さで飛ぶ機体から行われる。手をブラブラさせたまま飛び出すと、風圧であらぬ方向に腕を持って行かれ、脱臼してしまう可能性があるのだ。

 そして3で顎を引き胸に押し付ける。降下時はヘルメットを被っているので頭にも相当な風圧がかかる。キチンと頭の位置を定めておかないと、簡単に首をグキッとやってしまうのだ。また、これは、落下傘が開いた瞬間の衝撃に耐える姿勢でもある。

 腕を決め顎を固め、4で右足の足先を飛び出し口の縁端に掛ける。

指導教官による模範動作。「4」で跳び出し口に足を掛けたところ。
指導教官による模範動作。「4」で跳び出し口に足を掛けたところ。

 1、2、3、4!と声を出して一連の動作を行い、そしてハラを決めて、最後の5で「オリャー」と飛び出すのである。

 飛び出した後は必ず足を揃えること。そして「初こうかー2こうかー3こうかー4こうかー」と飛び出し姿勢のまま声を出す。

 飛び出しから4秒後、落下傘は自動的に開く(この瞬間、ガッと上に引き上げる力がハーネスに加わる)。ここで初めてクロスした腕を解いて傘から左右に下りたハーネスを握る……という順番だ。

 楽勝である。私は高い所が得意なのだ。中学の頃は校舎の3階のベランダからぶら下がって、階下の2年生をよく驚かせたものだ。

 さて、いよいよ本番である。

表情をお見せできないのが残念だが、モザイクの中は余裕の笑顔である。
表情をお見せできないのが残念だが、モザイクの中は余裕の笑顔である。

 当日は20名ほどの記者が訓練を体験した。私は第2班のトップである。前の班の5名が次々と飛び降りていく。さすがは従軍記者諸君。社名と氏名を叫んだ後、躊躇すること無く飛び出していく。

ハーネスの装着から訓練索への取り付けまで、すべてお任せである。無論空挺団の隊員諸侯はすべて自分で行う。
ハーネスの装着から訓練索への取り付けまで、すべてお任せである。無論空挺団の隊員諸侯はすべて自分で行う。
私の前の某社記者さん。雄叫びとも悲鳴ともつかぬ声で飛び出していく。あの、メガネをかけたままでもいいんすか?
私の前の某社記者さん。雄叫びとも悲鳴ともつかぬ声で飛び出していく。あの、メガネをかけたままでもいいんすか?

 私の順番が回ってきた。「フェルディナント・ヤマグチ」と名乗ると周囲から失笑が漏れた。名前だけで笑いを取れるなんて幸福です。

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