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F:ディーゼルゲート。ありましたね。あれは悪質でした。お陰で日本のフォルクスワーゲンは、関係の無いガソリン車まで影響を受けました。まだディーゼル車は日本市場に投入されていなかったのに、とんだとばっちりです。ヨーロッパでの影響はどうだったのでしょう。

:ヨーロッパ市場では、ディーゼルはあれからずっと落ちています。ディーゼルに対するイメージが悪くなってしまった。

「ディーゼルゲート」が欧州に起こした大変化

F:それはフォルクスワーゲンだけでなく?

:もうフォルクスワーゲンだけの問題じゃなかったです。メルセデスもBMWも。

F:マツダはどうなったんですか。SKYACTIV-Dが有るから、チャンス到来じゃないですか。「ウチはインチキしてませんぜ、触媒の問題じゃなくて、そもそも燃焼からして違いますぜ」、と宣伝できるじゃないですか(笑)。

:ウチも影響を受けています。ディーゼル市場が全部落ちているんですよ。今ヨーロッパではエミッション規制がステージ6の段階なのですが、その前のステージ5とか、もっと緩いステージ4のクルマがまだたくさん走っています。

F:向こうの人は1台のクルマに長く乗るしなあ。

:例えばシュトゥットガルトでは、昨年の夏に独環境団体DUHが、ディーゼル車が汚い空気をたくさん出しているから、街のど真ん中のネッカータール交差点の数値が悪くなるんだ、と、ディーゼル車はシュトゥットガルトの中に入れないという裁判まで起こしました。でもシュトゥットガルトってメルセデスの本拠地ですよ。その中にディーゼル車を入れるなと……。

F:それはマツダの本拠地である広島市街に、マツダのディーゼル車は入るな、というくらいのことですか。

:例えればそんな話です。そんなふうになれば、皆さんがディーゼルを買わないようになる。買わないようになるとリセールバリューが下がる。中古市場がどんどん落ちる。すると新車の市場がどーっと落ちていく。

F:そんなことに……。思っていたよりもうんと厳しい状況です。

:はい、特に小型のディーゼルが落ちていますね。Cセグ以下の、ウチで言えばアクセラ。メジャーどころで言えばゴルフとかその辺です。

単独では状況を変えられないのが、シェア2%の弱点

F:その状況を逆手に取って、「マツダは大丈夫です。ウチのディーゼルの排ガスはキッチリ基準を満たしているから安心してお買い求め下さい」と宣伝できないんですか? むしろ好機であるような気がするのですが。

:それができないんです。我々がいくら良いモノを造っていても、それが市場の大半の声にならないんです。逆に大きな波に飲み込まれてしまう。そこがシェア2%の弱いところです。大きな流れの中ではなかなか難しい。

F:例えばメルセデスくらいの規模の会社が、「ウチは違います。ウチだけはちゃんとやっていました」と言えていればどうでしょう?

:メルセデスくらいの規模があれば変わるのでしょうが、ディーゼルに関しては今はもうみんながみんなバシバシ叩かれている。そして更に尿素システムが独禁法に引っ掛かるようなことをしていた、と噂が流れたじゃないですか。

F:ああ、尿素タンクの容量を抑えるために、談合していたのでは無いかという……。

:それが本当かどうかは知りません。でもカルテル疑惑になってメディアに叩かれているので、余計にディーゼルがみんなに叩かれているわけですよ、もういろいろな意味で。


 3年ぶりに降臨した藤原大明神。口開けは欧州に於けるディーゼル嘆き節から始まりました。

 しかしそこは大明神。嘆いてばかりの筈がありません。今回記事化したのは、当日のテープ起こしの分量からすれば僅か15分の1に過ぎません。無論内容は取捨選択していかなかればならないのですが、可能な限り連発でみなさまにお伝えして行きたいと存じます。

 それではみなさままた明日――!