みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
今週も明るく楽しくヨタ話から参りましょう。
雪不足に泣くスキー場ですが、泣いているのは何もスキー場だけではありません。スキー用具のインポーター、また販売店なども同様にヒクヒク泣きじゃくっておられます。
そのなかで一人気を吐くのがHEAD JAPANの関口社長。スキー事業の落ち込みも、同業他社と比べれば悪くない。その上HEADにはテニスがありますからね。テニスの競技人口は現在完全にサチっておりますが、HEAD製ラケットは着実に売り上げを伸ばしている。
さらにイタリアのダイビング用品の老舗MARESも傘下に収め、ますます意気盛んであります。今日は、週末に訪れる北海道へ向けて、パウダー用の板の相談にやって来たのです。最近は圧雪ばかり滑っているからなー。上手く滑れるのでしょうか。まあ大人のスキーは道具で逃げられますからね(笑)
これ本当はギリギリの写真です(笑)。2018年モデルのエキップ群。エンバーゴは2月中旬の予定です。早くも来年の板のセールスが始まるんですな。
ブッシュJr.米大統領が来日した際、小泉総理と会食したことでその名も高い創作和食の権八。今や権八は寿司、蕎麦、天ぷら、串焼きと複数の業態で展開しておりまして、店舗数は10店にまで増えている。今日は11店となる、浅草吾妻橋店のソフトオープンに行ってきました。
権八 浅草吾妻橋店。吾妻橋の袂に建つ銅葺きの見事な建物。地下鉄の入り口まで徒歩2秒と交通至便な場所にあります。
何しろ場所がすごい。店からはスカイツリーとアサヒビールの金色ウンコが一望できて、ウンコの金、スカイツリーの銀、そして権八の銅と、金銀銅が揃った実に目出度い眺めなのであります。
で、浅草の店の白眉は、二階の手巻き寿司スペースに在ります。
注文が入る都度に炙る海苔がべらぼうに旨い。海苔は二種類から選ぶことが出来て、普通の方でもフツーに最上級なのですが、有明産「こんとびブラック」なるスペシャル海苔を頼むと、その芳香の豊かなことと言ったらありません。
注文が入る都度に炙る極上海苔。炙るのがガスでなく電熱器というのもさすがです。ガスは余計な水分が付いてしまい、パリパリ感が薄まるんですよね。
折角ならと同じ寿司ネタで海苔の食べ比べをしてみたのですが、パリッと噛んだときの味は正直大して変わりません。しかし海苔を口に含み、鼻から息を吐くときの香りが全く違う。海苔だけで価格差100円以上は一瞬躊躇する設定ですが、その価値は十分にあります。
もちろん従前からの名物海老しんじょう等も食すべきですが、こちらに来たら迷わずこの手巻き寿司を、そしてこの”こんとびブラック“を注文するべきでしょう。この芳香はなかなヨソでは愉しめないと思います。外人さんを接待する機会があれば、観音様にお参りした帰りに寄ってみて下さい。大喜びすること請け合いです。正式オープンは1月16日。お!ちょうど今日じゃないですか。
グローバルダイニングの長谷川社長と経営企画の美人マネージャー福島さん。ご多忙な長谷川社長を独占して話し込んでしまいましたが、いやはやスゴいお方です。その昔、代官山のモンスーンには足繁く通ったものです。100回以上は行ったかな。
銀座の名店、青木さんで美味しい鮨を食べてきました。
こちらのご主人、何とライザップで30キロの減量に成功し、しかもリバウンドすることもなく、それをキッチリと維持されているのだそうで。
銀座の鮨の名店、青木。ご主人はライザップに通い超人的なダイエットに成功した。
「いや、ライザップは本当に効きますよ。看板に偽りナシです」
ライザップに行っても痩せないよ、と太鼓腹を突き出してみせるP君。こんなに太ってしまいましたが、彼は一緒にトライアスロンを始めた当初、私よりも速かったんです。人間変われば変わるものです。
大将がこう言うと、一緒に食べに行った友人P君は「そうなかぁ……」と。
「僕もライザップに通ったけど、期間中痩せるどころか200グラム体重が増えました」
しかし詳しく聞くと、マジメにスタジオに行かないわ、トレーニング中に「辛いから回数を減らしてくれ」とダダをこねるわ、食べたものを虚偽申告するわで、そりゃ痩せる訳がありません。
さてさて、それでは本編へと参りましょう。
今週からお届けするのは、ホンダの小型ミニバン、フリードであります。
覚えておいでかどうか。2008年にデビューした初代フリードは、職業不詳(敢えて言えばジョン・レノンの息子業)の小野太郎氏が、何やら甲高い声で叫ぶ珍妙なコマーシャルで話題となったクルマである。
太郎氏の異母兄であるジュリアン・レノン氏も、実はこの少し前にホンダCITYのコマーシャルに登場されている。ホンダのレノンファミリーに対する肩入れ具合は尋常ならざるものがあった。同社の宣伝部には、どなたかジョン・レノンの熱烈なファンでも居るのだろうか。
となればオノ・ヨーコさんがホンダのCMに登場する日もそう遠くはあるまい。彼女は最近歌手として本格的に活動しておられるのだ。あの調子でcmソングを歌った日には、我が国の広告界に強烈なインパクトを与えること間違いナシである。クルマが売れるかどうかは別として……。
とまれ、CMは思い切りヘンだったが、初代フリードはマトモなクルマで、とてもよく売れた。普通のミニバンでは大き過ぎる。でも家族を乗せて荷物もちゃんと積んで走りたい、というディマンドに合致して、8年もの間、大したマイナーチェンジも施さず、ジワジワと静かに、しかし力強く売れ続けた。そして昨年秋に、満を持してのフルモデルチェンジと相成ったのである。
最大のライバルであるトヨタのシエンタは、1年前に実に12年ぶりのフルモデルチェンジを実施している。その変貌ぶりはいかにも大胆で、某社のデザイナーをして、「あれを本当に売ってしまうトヨタがスゴい」とまで言わしめた(実話)、ギョッとするほどの“異相”だった。
1年もの“後出しジャンケン”となったフリードはどのように変わったのか。宿敵シエンタに打ち勝つことは出来るのか。
じっくりと試乗してみよう。
ライバル、シエンタとの緒戦は…
今回はADフジノ氏が多忙だったため、不肖フェルが自らホンダの本社へ広報車輌を受け取りに行った。青山一丁目の交差点に聳える真っ白なホンダの本社ビル。二階の広報スペースで担当の方と待ち合わせをして、一緒に地下のパーキングへ向かう。
どんなクルマでも、売り出しの初月はご祝儀相場よろしくカイが集中する。そして売上台数がドカンと増加する。
フリードの売り指し初月は、宿敵シエンタに勝ったのだろうか。尋ねてみると、「残念ながら初月に勝つことは出来ませんでした。僅差だったのですが、シエンタさん、月の後半にググッと台数を伸ばしてきて……」とのことだった。
フリードの発売は昨年の9月後半。10月の販売台数は9,153台で、シエンタの10,778台には残念ながら届かなかった。
なるほど。トヨタの販売も相当気合が入っているようだ。
貸出前に懐中電灯で車輌の小キズチェックを行う。中指を立てて”不適切”なスラングを発している訳ではない。
鍵を受け取り、細かな車輌の説明を受ける。今回お借りするのは、自慢のハイブリッドモデルで、2列シート仕様のフリード+(プラスと読む)である。
ちなみにこの+は、前モデルではフリードスパイクとして販売されていた。
「今回は完全なフルモデルチェンジ、プラットフォームもエンジンも全て刷新されています。乗り心地は“ホンダらしい”、非常にしっかりとしたものです。お楽しみ下さい」
担当の方は、自信満々にそう仰る。
「良いですねぇ」と言いながらラインを撫で回すホンダの担当
「ホンダらしい乗り心地」と聞いて、読者諸兄はどのようなイメージを浮かべるだろう。若々しい。スポーティー。軽快。速い。軽い。小気味良い……。
何れにしても、走りに関してマイナスのイメージを抱く人は少ないだろう。だが残念ながら最近のホンダ車は、その辺りが顧客に対して上手に訴求できていないように思える。
果たしてこのクルマは、どのように仕上がっているのだろう。
デザインは完全に前モデルの踏襲で、所謂キープコンセプトと言うやつだ。有り体に言えば代わり映えが無く、良し悪しは別として、パッと見に於いてシエンタのような驚きは皆無である。
「うーん、カッコは良いのだけど、大きな変化は無いなぁ」
思わずそうごちると、担当の方は私をクルマの側面部分に連れていき、ボディ側面を指差して言った。
「サイドラインの複雑な造形を見て下さい。このラインをプレスするのは相当難しいのです。奇を衒うような、アッと驚くデザインではありませんが、こうした細部に拘ったデザインがホンダの信条です」
なるほど。言われてみれば確かにプレスの難儀そうな複雑なラインである。担当の方はいかにも愛おしそうに「良いですねぇ」と言いながらラインを撫で回しているのだが、ここに萌える人がいったいどれくらい居るのだろう。
「相当プレスが難しい」というサイドライン。言われてみれば確かに複雑に線が入り組んだ、凝ったデザインである。スライドドアのガイドレールが、テールライトにまで食い込んでいる。
ミニバンの試乗が続いている。先週は日産のセレナに乗っていた。
プチ自動運転とハンズフリードアばかりが取り沙汰されるクルマだが、実は非常に操安に優れていて、その快適さに目を見張ったものだった。
ではフリードはどうか。「ホンダらしさ」とやらをキチンと体現できているのだろうか。
狭く上がり難い駐車場の出口を上る。外苑東通りに出て青山一丁目の交差点を通過。権田原の交差点を左折する。絵画館を囲む左回りのサークルを、グルっと一周してみる。
なるほど。確かに高剛性ボディがもたらすカッチリ感がある。外苑の入り口から首都高に入る下りの右カーブ。これは気持ちがいい。ロールは決して小さくないのに、恐怖感はまったく無い。懐の深いサスペンションが、「もっと踏んでも大丈夫だよ」と囁いているような安心感がある。なるほど、“ホンダらしさ”を、と言った担当の方の言葉はダテでは無かった。
都心環状線の外回りに入る。悪名高き首都高の継ぎ目に於いても、不快な突き上げは感じられない。無難に“いなし”て行く印象だ。走行時の騒音は意外なほど静かで、エンジン音、タイヤノイズ、風切り音のバランスが取れている。クラス最高の低いCD値(空気抵抗係数)を謳うだけあって、速度を上げてもミニバンっぽい風切り音が聞こえてこない。
それにしても、このスパスパと小気味良く決まる変速はどうだ。フリードのハイブリッド仕様車の変速機は、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)が搭載されているのだ。
この剛性感にこの変速。フリードも、「ミニバンの割には」という不均衡逆説表現を用いなくても十分に「走りの良いクルマ」である。
所謂ミニバン的なグニャグニャ感は皆無と言っていい。コーナーではよく粘り、直線ではピシッと安定する。ひとつのクルマとして、実に上質に仕上がっている印象である。
荷物の積み下ろしは本当にラク
高速をおりて今一度クルマを眺め回してみよう。
まず室内。広い。メカスペースをギュッとコンパクトにまとめて、室内空間をうんと広く取っている。1列目から3列目までのシート間の距離は、実に90mmも拡大している。全長は50mm増に抑えられているので、単純計算ですると、40mmも“頑張った”ことになる。
コンパクトミニバンなのに、先輩格のステップワゴンに引けを取らない広々とした室内空間。二列目の足元の広さは相当なものだ。
運転席で目につくのは、遠くに押しやられたメーターディスプレイである。視線の移動を少なく抑えるために、このようなレイアウトにしているのだ。これはまあ特段珍しいことではなく、ヨソでもやっている。
運転席周り。空力性能を向上させるため、フロントガラスを思い切りスラントさせている。だからハンドルからガラスまでの距離がとても長い。ステアリングホイールの握り心地は非常に良い。
外に出て後ろに回ってみよう。あっと驚く低床化である。
開口部下部の地上高は、まさかの335mmである。大きな荷物、重い荷物の積み下ろしは本当にラクだ。
ここまで大胆に(しかも一枚扉で)リアゲートが大きく開くクルマも珍しい。このメリットは計り知れず、荷物の積み下ろしは本当にラクだ。
ロードバイクの搭載は……もともと軽いからそれほど苦労しないが、所謂ママチャリの積み下ろしも楽勝である。最近は電動自転車の価格も安くなり、最早ママチャリデファクトのごとく普及してきたから、ママさんを自転車ごと回収、などと言ったシーンで大いに役立つことだろう。電動自転車はバカみたいに重いのだ。
上下に分けられた荷室。パネルを外すとこんなに深く広くなる。前モデルのハイブリッド仕様車は、三列目のシート下にバッテリーを搭載していたので、かようなマネはとても出来なかった。
だかしかし、好事魔多し。下の方まで盛大に開口部を広げたため、当然ドアは大きくなる。
リアゲートを開いた姿を横から見てみると……。アンバランスに感じるほどデカイ。
こちらはホンダ本社の地下駐車場。ギリギリである。普通の駐車場は後ろのスペースをここまで広く取っていないのでは?
車体はコンパクトにまとまり、室内空間は兄貴分に引けを取らず、走りは“ホンダらしく”カチッとして安心して飛ばすことが出来る。おまけに価格も安い。ハイブリッドを選べば、ミニバンなのに変速がスパスパ決まるDCTまでついてくる。
もうミニバンは大きくて高いのを買わなくても、これでええんとちゃいますか、と思えて来る。
フリードは、クルマに見栄やらハッタリやらを求める人には向いていない。使い倒す”道具”としてのクルマである。
日常から趣味までを広範囲に、しかも比較的に安価にカバーしてくれる、極めて入り口の広い、言ってみれば「クルマに対して大きな思い入れを持たない人」に向いているクルマではないだろうか。
二代目フリードの○と×
それでは最後に二代目フリードの○と×を。
フリードのこれはナイス!
1:新設計プラットフォームがもたらす高剛性
ホンダの面目躍如。「ミニバンなのに」なんてもう言わせない。
2:新設計プラットフォームがもたらす底床化
これは便利です。ものすごく便利。床が低いことがここまで目出度いとは思わなかった。いや実に目出度い。フリードには安価な車椅子仕様車まで設定されているのだ。本チャンの介護車輌はべらぼうに高いですからね。
3:(ハイブリッド仕様の)DCT搭載
やっぱりDCTは良いなぁ。加速の気持ちよさが格段に違うもの。選ぶならハイブリッド一択でしょう。ノーマルエンジン車はCVTですからね。
フリードのこれはちょっとどうもなぁ……
1:巨大過ぎるリアゲート
荷物の積み下ろし易さとのトレードオフなのだが、いくらなんでもデカ過ぎない?スーパーの駐車場でいちいちドキドキしなくてはならない。
2:消極的なハイブリッド
もうちょっとEVモードで頑張って欲しい。加速するとエンジンがすぐにかかってしまう。
3:バックするときの変な音
音がダサい。前のほうが好きだ。
ということで次週は開発者インタビューです。お楽しみに!
北米国際自動車ショーでのベストパフォーマンス賞は豊田章男社長!
こんにちは、ADフジノです
年明けは久しぶりに北米国際自動車ショー(デトロイトショー)へ行ってきました。
リーマンショック以降、アメリカビック3の経営破たんの危機や自動車のデジタル化(IoTをはじめ電動化、自動運転化)の流れにより、年頭の自動車メーカーの主戦場がラスベガスで開催されるIT&家電見本市のCES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)へと移行しつつあるようです。たしかにデトロイトショーでは以前ほどのスケール感や派手な演出は影を潜めていましたが、それでも2015年、2016年と過去最高の自動車販売台数を記録し続けているアメリカ経済の好調さを感じさせるものでした。
各社のプレゼンの場にはフォードのビル・フォード会長にマーク・フィールズCEO、ダイムラーAGのディーター・ツェッチェ会長、日産のカルロス・ゴーン社長に、ホンダの八郷隆弘社長などなどといったお歴々が登壇し、アメリカ市場がいかに重要であるかをアピールします。
経済メディアは、次期大統領のトランプ氏が自動車工場のメキシコ進出に否定的なツイートをしたことに対し、各社のトップからコメントをとることに躍起になっているように見えましたが、中でも、まるでそうなることを予見していたかのようなトヨタの豊田章男社長の、アメリカへの貢献度を訴えるプレゼンは秀逸でした。デトロイト川も凍る寒々しい街で、地元の記者からも幾度も笑いを取るユーモアを交えたスピーチは、今回のショーにおけるベストパフォーマンスだったように思います。映像も和訳もリリースされていますので、ぜひじっくりご覧ください。
新型カムリのプレゼンテーションに、豊田章男社長が登壇した際のワンシーン。映像や和訳などスピーチの詳細は
こちらで
ショー会場のCOBOセンターから、対岸のカナダ側を望む。日中の気温も平均的にマイナス10℃くらいでデトロイト川も凍る寒さ
ホンダのワールドプレミアは、北米仕様のオデッセイ。かつては日本でもLAGREATの名で販売されたことがあるラージサイズミニバン。3.5リッターエンジンにミニバン初の10速ATを組み合わせる
いまやスーパーカーを市販することと、FIA GT3準拠のレースカーを用意することは切っても切り離せない関係になりつつある。日産GT-R、レクサスRC Fに続く、日本メーカーとしては第三弾となるGT3マシンがこのNSXだ。今シーズンよりアメリカのGTカー選手権に参戦予定という
11年ぶりにフルモデルチェンジしたレクサスLS。従来の4ドアセダンとは一線を画すクーペシルエットにするため、6ライトキャビン(サイドウィンドウが片側3枚ずつ計6枚ある)デザインを採用している。そのガラスの内側にピラーを収めるなど、チリの精度も含めてボディ表面の滑らかさはさすがのもの
CESに続いて、デトロイトでも自動運転やコネクテッドカーなど近未来のモビリティについて基調講演を行った日産のカルロス ゴーン社長。CESで発表された詳細は
こちらで見ることができる
この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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