そういうおっさんたちを、一概に責めることはできない。
彼らは、自分自身から追放された会社教の信者で、その意味では、時代精神の申し子であり、タイムカードの犠牲者だからだ。
ともあれ、そういうおっさんを大量生産してしまったこの国の社会は、なんとしても、改められなければならない。
私自身は、新卒で入社した会社で課されたいまにして思えばたいしてキツくもなかったノルマをいきなり投げ出してしまった人間なので、あまり大きなことは言えない。
ただ、個人的な結論として、自分用の感想を述べるなら、逃げて良かったと思っている。
逃げた先に人生が無いと思うのは間違いだ。
逃げようが逃げまいが、どっちにしても、生きている限り未来はやってくる。
その未来から見れば、現在など、過去にすぎない。
まあ、当たり前だが。
(文・イラスト/小田嶋 隆)
それでも逃げてくれたら、と思わずにいられません。

当「ア・ピース・オブ・警句」出典の5冊目の単行本『超・反知性主義入門』。おかげさまで各書店様にて大きく扱っていただいております。日本に漂う変な空気、閉塞感に辟易としている方に、「反知性主義」というバズワードの原典や、わが国での使われ方を(ニヤリとしながら)知りたい方に、新潮選書のヒット作『反知性主義』の、森本あんり先生との対談(新規追加2万字!)が読みたい方に、そして、オダジマさんの文章が好きな方に、縦書き化に伴う再編集をガリガリ行って、「本」らしい読み味に仕上げました。ぜひ、お手にとって、ご感想をお聞かせください。
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