私がここ数年来様々な場所で感じているのは、その「意に添わぬ立場に置かれた」時に、多くの男がまるで機能しない人間になってしまうという、そのことだ。

 この問題は、第一義的には、「礼儀」ないしは「対人コミュニケーション」の不具合として立ち現れる。

 入院4日目の朝、私は自分のツイッターに

人間の中味はともかく、こと対人マナーに限って言うなら、男の態度はトシを取れば取るだけ悪化する。失礼な若いヤツには滅多に会わないが、失礼なおっさんは珍しくない。爺さんになると失礼な人間の方が多数派になる。女性は年齢では変わらない印象がある。まあ、個人の感想だが。

年配の女性と年配の男性を比べると、救いようの無い人間は後者の集合により多く含まれている。
 一応、個人の感想と言っておく。》

 というツイートを書き込んだ。

 念のために申し添えれば、これは、私が病院内で遭遇した特定の患者やその家族を想定して書いたコメントではない。この2年ほどの間に、杖を突いて歩く駅のプラットホームや、通院先の病院のロビーや、手すりに頼って一段ずつ下りる神社の階段で、すれ違ったり肩をぶつけたり声をかけてくれたりした様々な人々の印象を総合した言葉だと思ってほしい。

 要するに

  1. 女性は年代を問わずおおむね親切に接してくれる
  2. 男性の場合は、年齢が若いほど気遣いが行き届いている
  3. おっさん、爺さんには、横柄、尊大、偏屈、無愛想な個体が数多く含まれている

 ということだ。
 人混みで肩がぶつかったような場合、ほとんどの日本人は

「あ、ごめんなさい」
「すみません」

 と、反射的に謝罪の言葉を述べる。これは、どちらが悪いとか、どの人間がコースを外れてぶつかったとか、そういう問題ではない。人の多い場所で誰かとカラダの一部が接触してしまった場合に、咄嗟に謝罪の言葉を口に出せるかどうかという社会性の問題だ。

 私の個人的な経験から言えば、こういう時に、黙ってにらみつけて来るのは、ほぼ高齢の男性に限られる。

 加齢がもたらす変化なのか、世代的な特徴なのかはわからない。が、ともあれ、50歳以上のおっさんから70歳を超えた爺さんを含むシルバーグレーな集合の中には、かなりの確率で、人とぶつかった時に気軽に謝れない人間が含まれているということだ。

 病院内でも、ナースさんに対して横柄なものの言い方を繰り返していたり、見舞客に延々と愚痴をこぼしていたり、嫁さんに威張り散らしていたりする患者は、やはり高齢男性に多い。

 女性や若い男性で、手に負えないタイプの患者はあまり見たことがない。
 高齢の男性患者の中には、目の前にいる人間に命令することを、自分に与えられた天然の権利だと思いこんでいるタイプの暴君が、時々混じっている。
 不可思議なことだ。