代表選で対立候補の一人となっている玉木雄一郎議員のツイートもなかなかひどい。

《二重国籍をチクったのは玉木さんだという人がいたので、日本人はそんな事はしないと釘を刺しておきました。民進党代表の国籍はクリーンであるべき。玉木さんしかいない。》

 という、支援者?のツイートを引用する形で、このツイートに返事を書いている。

《このような話が流れるのはホント悲しいですね。蓮舫さんはきちんと説明されると思いますし、問題はないと信じています。》(こちら

 責任ある政治家なら、自分に話しかけてきたアカウントが「日本人はそんな事はしないと釘を刺しておきました。民進党代表の国籍はクリーンであるべき」などというレイシズムまがいの発言を送ってよこしたのであれば、まず、その場でたしなめないといけない。でなくても、こういうバカな声は、せめて黙殺すべきだろう。

 ところが、玉木議員は、
「このような話が流れるは、ホント悲しいですね」
 などと、まるで他人事のように受けとめて、さらに
「蓮舫さんはきちんと説明されると思います」
 などと、まるで蓮舫議員の側に説明責任があるみたいな言い方でボールを投げ返している。

 本来なら、
「私は、同僚議員として、蓮舫議員への卑劣な中傷に抗議します」
 ぐらいなことは言わないといけない。これぐらいなことは言っておかないと、対立候補として、このスキャンダルを利用しようとしているのではないかと疑われても仕方がないというお話になる。
 どうしてこの程度のことがわからないのだろうか。

 結局、今回の二重国籍問題への対応では、民進党全体が評判を落としている。
 卑劣ないいがかりをつけれらたことそのものの被害もさることながら、その不当ないいがかりに対して適切に対応できない無能さを露呈したことで、更に巨大な被害を被っている。

 一方、自民党は、幾人か、この騒動に便乗した愚かな政治家が現れたようだが、全体としては、静観している。
 こういう点は見事だと思う。政治家としてずっと大人だ。

 民進党が自ら醜態をさらしているのに比べて、自民党は、敵のスキャンダルに乗じてはしゃぎまわることなく、黙っていれば勝てる、と、冷静な態度を堅持している。

 引き比べて、民進党は、どうにもならない。
 被害者特権すら使いこなせない。

 結論を述べる。
 今回の炎上案件の直接の被害者は、蓮舫議員であり、民進党だ。

 が、今回の騒動を通じて最も致命的に評判を落としたのは、わたくしども「日本人」というより大きな集合だったと私は考えている。

 両親のうちの一方が外国籍の人間だったからという理由で、日本に生まれて日本に育ち、日本国籍を取得して国会議員にまでなった「日本人」をつかまえて、その二重国籍の疑いを、あたかも政治的な醜聞であるかの如くに騒ぎ立てるような国があるのだとしたら、たぶん、そういう国に、わざわざやって来ようと考える外国人は、そんなに多くないだろう。

 政治家の善し悪しが何で決まるのか、落ち着いて考えてみるべきだ。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

ここの見出しが読後感を落とすとのご指摘を頂戴しましたので
今回は控えさせていただきます。

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