蓮舫議員の出自をめぐる話題が炎上している。

 騒いでいる人たちは、彼女が「二重国籍」である可能性を疑っている。そして、彼女が二重国籍なのだとすると、それは国を代表する政治家としてふさわしくないと言い張っている。

「私は蓮舫議員の出自を問題視しているのではない。国籍に関する法的な処理の細部をあげつらおうとしているのでもない。ただ、公党の代表選に出馬する人間としての説明責任を問うているだけだ」

 という感じの、より慎重な言い方で彼女の非を鳴らしている人々もいる。
 個人的に、後者の主張は、卑怯な姿勢に感じられる。

 実際には出自にツッコミを入れているにもかかわらず、表面上はあくまでも「政治家としての質問への答え方」を問題にしているかのようなポーズをとっているからだ。

 出自や血統が気に食わないのなら、思っている通りにそう言えば良い。
 出自を持ち出すことに後ろめたさを感じるのであれば、はじめから何も言うべきではない。

 ところが、卑怯な人たちは

「いや、オレは出身国を理由に差別してるわけじゃない。ただ、一般論として、エレベーターなんかで一緒になると、食べてるものの匂いとかが耐えられないよねって話をしてるだけ」

 てな調子で、実際には出自や民族性によって他人を差別していながら、その自分の差別感情を、個別の性質や特定の出来事についての理性的な判断の結果であるかのように見せかけながら、やんわりと差別を実行しにかかる。

 いやらしい話だ。
 私自身は、いまさらこんなことが問題になっているなりゆきにあきれている。

 なぜなら、蓮舫議員は、国政選挙に当選して議員になった政治家で、ということはつまり、その時点で国籍の問題はクリアになっていると考えるからだ。

「だって、そもそも国籍上の問題があったら、議員になれないわけだろ?」
「逆に言えば、国会議員として10年以上活動している人間の国籍をどうこういうこと自体がどうかしてるってことだよ」

 と、本当なら、この問題は、以上終了解散ご苦労さんで一件落着なのである。

 が、蓮舫議員の国籍問題は、へたをすると民進党の代表選挙に影響を及ぼす勢いで、様々な方面に予測不能な波紋を投げかけている。

 収穫がないわけでもない。
 そのひとつは、この話題がネット上で騒がれるようになって以来、国籍法の解釈やその運用について議論が深められつつあることだ。
 私自身、勉強になったと思っている。