が、私は、少し違う印象を受けた。

  • 日本の男女らが動かすプロジェクトの優秀さと、それゆえの切なさ。
  • 特定の人間がチームを主導するのではなく、チームに献身する個々の意思がメンバーを巻き込んでいくメカニズムの精緻さと不気味さ。
  • サッカーチームで言えば、ハマった時の強さと、歯車が狂い始めた時の修正のきかなさ。まるで浦和レッズじゃないか。オレは何を言っているのだろう。

 シン・ゴジラは、色々なことを考えさせる映画だ。
 たぶん、どの考えも、少しずつズレている。

 が、少しずつズレたたくさんの感想を集めると、不気味な民意が立ち上がる。
 おそらく、誰も望んでいないのに開催されずにおかない忘年会と同じように、われわれは、そう遠くない将来、ゴジラを召喚することになる。

 ゴジラが、象徴するものが、大地震なのか、戦争なのか、メルトダウンなのか、不良出版企画なのかは、まだ現時点ではわからない。

 が、ともあれ、ゴジラがやってきた時、われわれは徹夜と残業の力でそれと戦うことになる。

 日本の上場企業には、午後5時になったら、伊福部昭によるあのテーマ曲を流すことを義務付けるべきだと思う。
 念の為に歌詞を付記しておく。

「♪ 5時だ 5時だ そろそろ帰ろうぜ
  5時だ 5時だ さっさと切り上げて
 ゴジラ ゴジラ 飲もうぜ騒ごうぜ
 ゴジラ ゴジラ ゲロゲロ吐き出すぜ」

(文・イラスト/小田嶋 隆)

冒頭のイラストの色が緑色なのはネタバレ防止ではなく
小田嶋さんの寵愛したイグアナ、イギー君を偲んでだそうです

 当「ア・ピース・オブ・警句」出典の5冊目の単行本『超・反知性主義入門』。おかげさまで各書店様にて大きく扱っていただいております。日本に漂う変な空気、閉塞感に辟易としている方に、「反知性主義」というバズワードの原典や、わが国での使われ方を(ニヤリとしながら)知りたい方に、新潮選書のヒット作『反知性主義』の、森本あんり先生との対談(新規追加2万字!)が読みたい方に、そして、オダジマさんの文章が好きな方に、縦書き化に伴う再編集をガリガリ行って、「本」らしい読み味に仕上げました。ぜひ、お手にとって、ご感想をお聞かせください。

読者の皆様へ:あなたの「読み」を教えてください

 映画「シン・ゴジラ」を、もうご覧になりましたか?

 その怒涛のような情報量に圧倒された方も多いのではないでしょうか。ゴジラが襲う場所。掛けられている絵画。迎え撃つ自衛隊の兵器。破壊されたビル。机に置かれた詩集。使われているパソコンの機種…。装置として作中に散りばめられた無数の情報の断片は、その背景や因果について十分な説明がないまま鑑賞者の解釈に委ねられ「開かれて」います。だからこそこの映画は、鑑賞者を「シン・ゴジラについて何かを語りたい」という気にさせるのでしょう。

 その挑発的な情報の怒涛をどう「読む」か――。日経ビジネスオンラインでは、人気連載陣のほか、財界、政界、学術界、文芸界など各界のキーマンの「読み」をお届けするキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を開始しました。

 このキャンペーンに、あなたも参加しませんか。記事にコメントを投稿いただくか、ツイッターでハッシュタグ「#シン・ゴジラ」を付けて@nikkeibusinessにメンションください。あなたの「読み」を教えていただくのでも、こんな取材をしてほしいというリクエストでも、公開された記事への質問やご意見でも構いません。お寄せいただいたツイートは、まとめて記事化させていただく可能性があります。

 119分間にぎっしり織り込まれた糸を、読者のみなさんと解きほぐしていけることを楽しみにしています。

(日経ビジネスオンライン編集長 池田 信太朗)