メダルを獲得した選手には、もっと個人的な自慢や喜びを表現してほしい。
 ブラック企業みたいに必死で取り組まないと成果は出ないぞなんていうお話を、私はメダリストから聞きたいとは思わない。

 ブルームバーグのウェブ版が伝えるところによると、IMFの対日審査責任者を務めるリュック・エフェラールト氏は今月2日に記者団に、「日本には賃金上昇を支える政策が必要だ」と指摘したのだそうだ(こちら)。

 IMFによるこの提言は、ふつうに解釈すれば、日本企業が、安倍晋三首相による賃上げの呼びかけにもかかわらず、頑として賃金の硬直性を改めようとしないことへの警告と見るべきなのだろう。

 私個人は、もう一歩踏み込んで、実質賃金が低下し続けているにもかかわらず、サービス残業を強いられ、有給休暇さえ消化せずに頑張っている日本の労働者への、反抗(ないしは怠業)を促すサインなのだと思っている。

 私の個人的な感触から申し述べるに、地獄のような日々の先には、ふつう、死や破滅が待っているはずで、地獄のような日々の先に栄光が訪れるのは、かなりのレアケースだと思うのだが、どうなのだろう。

 ともあれ、私は、その先に何が待っているのであれ、のんびりした日々の先にあるものを受けとめようと思っている。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

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こんど載せましょうか、ダメ?

 当「ア・ピース・オブ・警句」出典の5冊目の単行本『超・反知性主義入門』。おかげさまで各書店様にて大きく扱っていただいております。日本に漂う変な空気、閉塞感に辟易としている方に、「反知性主義」というバズワードの原典や、わが国での使われ方を(ニヤリとしながら)知りたい方に、新潮選書のヒット作『反知性主義』の、森本あんり先生との対談(新規追加2万字!)が読みたい方に、そして、オダジマさんの文章が好きな方に、縦書き化に伴う再編集をガリガリ行って、「本」らしい読み味に仕上げました。ぜひ、お手にとって、ご感想をお聞かせください。