この記事の中でも、シルバー民主主義とテレビディアの蜜月が指摘されている。
 筆者の池田信夫氏は、記事の中で「ワイドショーに登場するコメンテーターが極左化する」理由として、3つの理由を挙げている。そのうちの1つ目が

《第一はマーケティングだ。テレビの主要な視聴者である老人は、ちょっと前までは戦争の記憶があり、特に戦争から生還した世代には「押しつけ憲法」に対する反感が強かったが、そういう世代はいなくなり、団塊の世代が主要な客になった。彼らは子供のころ「平和憲法」の教育を受けたので、ガラパゴス平和主義になじみやすい。》

 ということになっている。

 「ガラパゴス平和主義」というのは、たぶん池田氏の造語で、「世界の現状から取り残された日本国内でだけ通用する自閉的で幻想的な平和主義」といったほどの意味だと思うのだが、いずれにせよ、テレビの主要な視聴者層を「老人」と決めつけていることからも、彼が「テレビ漬けの老人たち」のアタマの中身をあまり高く評価していないことはたしかだと思う。

 この論考の中では、「文学部バイアス」という言葉がなかなか印象深い。
 意味するところは以下のとおりだ。

《第二は業界のバイアスだ。マスコミに入る学生は超エリートではなく、役所に入れる法学部や銀行に入れる経済学部には、マスコミ志望は少ない(私のころ東大経済学部からNHKに入る学生は、2年に1人ぐらいだった)。多いのは普通の会社に就職できない文学部卒で、法学部エリートに対する左翼的ルサンチマンがある。現場を離れると、正直になるのかもしれない。》

 どうやら、池田信夫氏は、マスコミに就職する文学部出身の人間たちが、役所や銀行に行った法学部や経済学部の学生たちに「左翼的ルサンチマン」を抱いていて、その気持ちが、「文学部バイアス」として、反体制な報道を呼び寄せると考えているらしい。

 なんだかめまいがしてくるようなお話だ。
 特に論評はしない。各自、自己責任でくらくらしてください。

 テレビ番組を「反政府」と呼ぶことが適切であるのかどうかはともかく、この1か月ほど、民放各局の報道・情報番組のタイムテーブルの中で、政権に対して批判的な内容を含むニュースの割合が増えたことは、山本、池田両氏が指摘している通り、明らかな事実だ。

 テレビの主たる視聴者層が高齢者であり、1日の中で最も長時間テレビを見ている人々が高齢者層であることも、また彼らが指摘している通りだ。

 ということは、言葉の使い方はともかくとして、彼らの論旨が的を射ているではないか、という見方も成立するとは思う。

 私は、この種の議論を展開する際には、因果関係を慎重に見極めなければならないと考えている。