はやい話、当選が決まったその日のうちに、党首が自ら辞任することを表明したことに対して、異議を鳴らすなり真意を質すなりする議員が一人も出なかったことからして、今回の55人(追加公認を含む)の都議会議員は、「お人形さん」以上のものではないのだろう。だって、誰がどう考えても、選挙が終わったその日に、党首が辞任を表明するのはおかしい。

 では、その党首とのツーショットで選挙ポスターを作って戦ってきた選挙戦は、あれはフェイクだったのかということになる。

 小池都知事は、自らが党代表を退く理由について

 「二元代表制などの懸念があることを考えると、私は知事に専念し、代表は野田氏に戻したい」

 と記者団に語っている。
 この理由そのものは、もっともな話に聞こえる。

 が、もし、二元代表制などの懸念がアタマにあったのなら、はじめから代表に就任しなければよかっただけの話で、この説明だと、選挙を前に小池都知事が記者団を集めて代表に就任する旨を発表してみせたこと自体がまるごと説明不能になる。

 仮に党の実権を握っているのが、小池代表であるのなら、自らが代表を降りて、その座を野田氏に譲ることは、二元代表制への批判をかわすための目くらましだということにもなれば、非民主的な「院政」による党支配ということにもなる。

 そうではなくて、もともと党の実権が野田数氏にあったとするのであれば、自らの代表就任は選挙用のパフォーマンスに過ぎなかったということになる。

 いずれにしても、この間の、小池都知事の、自民党への離党届の提出、政党の立ち上げ、代表への就任と辞任という一連のパフォーマンスは、すべてがうさんくさい。

 さらに、手続き的にも、党代表を野田氏に譲るにあたって、公認選挙を経たわけでもなければ、党の幹部会にはかったわけでもない。党内外に説明した形跡もない。選挙選挙でざわつく状況の中で、たった1日の間に、まったくの個人的な決断で、恣意的に、極めて非民主的に権力の移譲がおこなわれている。到底公党の代表を選任する手順とは思えない。

 別の角度から見れば、都民ファーストの会は、自分たちの政党の代表が、突然辞任して、何の説明もなく次期代表を指名していることに、何の疑問も感じない議員たちが集まっている政党であるわけで、これは、とてもではないが、国政に打って出る政党の体制ではない。

 新代表に就任した野田数氏について、7月3日のハフィントンポスト(http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/03/kazusa-noda_n_17374158.html)は、共産党東京中央委員の情報として
《9月には地域政党「東京維新の会」を設立。10月の都議会では「日本国憲法は無効で大日本帝国憲法が現存する」との請願に賛成した。「日本国憲法は占領憲法で国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄すべきだ」と主張する内容で、請願の紹介議員も務めたが、反対多数で不採択となった。》
 という話を紹介している。

 なんだかめまいのするような話だ。

 小池都知事の行動原理について、以前私は

あざとい
いかがわしい
うさんくさい
えげつない
おしつけがましい

 という小池百合子五原則を提唱したことがある。
 今回、一連の経過を観察した結果として、新たに5つの新傾向を発見したことをお知らせして稿をおさめることにする。

 小池百合子氏のメディア対応5原則

質問を:はぐらかす
実績を:ひけらかす
記者を:ふりまわす
原則を:へしまげる
幻想を:ほのめかす

 以上です。参考にしてください。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

小田嶋隆氏のコラム執筆5原則…
なんてコメントが殺到しそうです。しないかな。するといいな。

 当「ア・ピース・オブ・警句」出典の5冊目の単行本『超・反知性主義入門』。相も変わらず日本に漂う変な空気、閉塞感に辟易としている方に、「反知性主義」というバズワードの原典や、わが国での使われ方を(ニヤリとしながら)知りたい方に、新潮選書のヒット作『反知性主義』の、森本あんり先生との対談(新規追加2万字!)が読みたい方に、そして、オダジマさんの文章が好きな方に、縦書き化に伴う再編集をガリガリ行って、「本」らしい読み味に仕上げました。ぜひ、お手にとって、ご感想をお聞かせください。

■変更履歴
記事掲載当初、本文中で「首相が応援に入った板橋区」としていましたが、正しくは「稲田防衛大臣が」です。お詫びして訂正します。野田数氏についてウィキペディアを引用しておりましたが、ソースとしては不適切と判断し、ハフィントンポストに差し替えました。本文は修正済みです [2017/07/07 8:15]