百歩譲って、アベノミクスの全面的な失敗を認めろとまでは言わない。
 ただ、アベノミクスの諸施策の中に、いまだに成果があがっていない部分があって、その停滞が増税の決断を妨げる要因になっていることは、どうしたって認めずには済まされないはずだ。

 ところが、首相は、自らの失政を頑として認めない。
 で、増税延期の理由を、アベノミクスの失敗ないしは停滞にではなく、「世界経済」に求める論陣を張っている。

 さきのG7で、首相は、現在の世界経済の状況がリーマンショック前の状況に似ているという旨の話をして、世界から招いた主要国の首脳に、各国が揃っての一斉の財政出動を促した。
 そして、その首相の発言は受け入れられなかった。
 ちなみに、フランスの高級紙ル・モンドは、5月26日付けの紙面で
「安倍晋三の無根拠なお騒がせ発言がG7を仰天させた」
 という見出しの記事を掲載している。

 にもかかわらず、首相は、G7を総括する27日2時からの会見において、各国首脳と世界経済に対する強い危機感を共有し、G7が責任をもってあらゆる政策を総動員して対応していくことで一致した旨を強調しつつ、

「今こそG7がその責任を果たさなければならない。G7で協調して、金融政策、財政政策、構造政策を進め、3本の矢を放っていく」

 と語り、その上で

「アベノミクスは失敗していないが、世界経済が直面している大きなリスクに対し、あらゆる政策を総動員する必要がある」

 と述べている。(こちら

 一連の発言を振り返ると、首相がサミットという大きな舞台を利用して、「世界経済の危機」という増税理由をアピールしたと言われても仕方がないと思う。

 当然の展開だが、サミットでの首相のパフォーマンスは、各方面からの批判にさらされることになった。
 毎日新聞が28日に配信した記事が、各国のメディアによるサミット批判を紹介している。いくつか引用すれば

※英紙フィナンシャル・タイムズ:「世界経済が着実に成長する中、安倍氏が説得力のない(リーマン・ショックが起きた)2008年との比較を持ち出したのは、安倍氏の増税延期計画を意味している」
※英BBC:「G7での安倍氏の使命は、一段の財政出動に賛成するよう各国首脳を説得することだったが、失敗した」
※仏ル・モンド:「安倍氏は『深刻なリスク』の存在を訴え、悲観主義で驚かせた」
※米経済メディアCNBC:「増税延期計画の一環」「あまりに芝居がかっている」
こちら

 といった調子だ。
 火ダルマと申し上げて良い状況だ。