つまり、この記事は、「関係者」とされる人間の「証言」(っていうか「噂」)のみを元に構成されていることになる。
 こんなヨタ記事を、仮にも世界一の発行部数を誇る読売新聞が執筆して配信したことを、われわれはどう受け止めれば良いのだろうか。

 仮に、前川前次官が、その「出会い系バー」とやらに出入りしていたことが事実なのだとして、では、勤務時間外に一私人が、歌舞伎町のその種の店に出入りすることは、果たして犯罪なのだろうか。

 とんでもない。
 どこからどう見ても犯罪ではない。

 合法的に営業されている店舗に、正規の料金を支払って入店している限りにおいて、なんら恥じるべきところはないはずだ。

 私は、その「出会い系バー」という施設がどんな種類の店舗であるのか、詳しい知識を持つ者ではないが、その場所に通うことが、社会人として立派な行動であるのかどうかはともかくとして、少なくともただちに犯罪となるわけではないことぐらいは承知している。

 とすると、読売新聞の長年の読者の一人として、私は、一私人の勤務時間外の風俗店通い(しかも半年も前の)を、いきなり暴きにかかった彼らの真意に疑念を抱かざるを得ない。

 要するに、読売新聞は、前川前次官の人格を貶めたかったのではなかろうか。
 では、どうして彼らは、前川前次官の世評を泥まみれにすることを狙ったのであろうか。

 本日発売の週刊文春と週刊新潮の両誌の見出しをお知らせする。

 週刊文春は、
《「『総理のご意向』文書は本物です」 文科省前事務次官前川喜平 独占告白150分》
 という記事を掲載している。

 内容は、見出しにある通り、加計学園の獣医学部新設問題に関連して、5月中旬に朝日新聞が報じた文部科学省の内部文書に関するもので、記事の中で、前川前次官は、文書が作成された経緯や、内閣府と文科省とのやりとりを詳細に語っている。

 週刊新潮の方は、
《加計学園疑惑の場外乱闘! 安倍官邸が暴露した「文書リーク官僚」の風俗通い》
 として、予定されていた前川前次官のインタビュー(NHKインタビュー放送および朝日新聞の記事)が、官邸筋によってリークされた「風俗通い」情報によってお蔵入りになった経緯を紹介している。

 これらの本日発売の両週刊誌による暴露記事と、冒頭で紹介した読売新聞によるスキャンダル記事をあわせて読み比べてみると、色々と不穏な想像が広がる。
 文科省と官邸の抗争勃発。週刊誌と大新聞の代理戦争。
 大変にいやな気分だ。

 読売新聞の報道によって、前川前次官の犯罪が暴かれたわけではないが、それでも、彼の評判が落ちることは確かだ。

 ただし、前川次官の人間性に仮に疑問符が付くことになるのだとしても、そのことが「『総理のご意向』文書」の信用性を疑わせることにはならない。

 むしろ、政権にとって不都合な証言をした官僚に「制裁」じみた報道圧力が加えられたことで、文書の信憑性は高まったとさえ言える。
 では、文書の信用性を落とすことなど、どだいできるはずがないのに、どうして彼らは、前川前次官にあのような仕打ちをしたのだろうか。