このツイートに先立つ3日ほど前の5月19日に

《安倍さんについてなにがしかの論評すると、必ずや「どうしてそんなに日本がきらいなのですか?」という感じの質問が届く。一応マジレスしておく。日本が好きだからこそ、政権のやりかたに反対せねばならないケースがある。それだけの話だ。どうしてこんな簡単なことがわからないのだろうか。》(こちら

 という内容のツイートを投稿したのだが、これには、7988件の「いいね」が付き、198件のリプライが押し寄せた。

 私を「反日」と呼ぶ人たちが想定している「日本」と、私が、「腐臭を放っている実体」として名付けようとした「日本」は、正反対のものだ。
 思うに、様々なズレは、ここにはじまっている。

 ともあれ、大切なのは、われわれが暮らしているこの日本の社会が、この5年ほどの間に、いけずうずうしい言い訳を並べ立てる卑劣な大人や、三百代言顔負けの聞くに堪えない屁理屈を押し出してくる商売人の目立つ、どうにも不愉快な場所に変化しつつあるということだ。

 その原因のすべてを安倍政権に押し付けるつもりはない。
 私は、言葉というコミュニケーションツールへの基本的な信頼感が、根本的な次元で損なわれていることの原因の少なくとも一部は、国会答弁の中でこの1年来繰り返されているあまりにも不毛な言葉のやりとりにあるはずだ、とは考えている。
 しかしながら安倍政権もまた、変化した「日本」の影響を受けていることは間違いないからだ。

 なので、私は日本を取り戻さなければならないと考えている。
 ん? この点では、安倍さんと一致しているのだろうか。

 具体的にどんな日本を取り戻すのかについて、果たして歩み寄りの余地があるものなのかどうか、しばらく考えてみたい。その前に、「自分を取り戻せ」とか言われそうだが。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

「リンゴは果物です」と言うと「バナナは果物じゃないと言うんですね!」と言われる……
そんなツイート(大意です)を読んで、私が辛いのはそれだと膝を打ちました。
(どなたの発言だったのかが見つけられません、どなたかご教示くださいませんでしょうか)

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 なぜ、オレだけが抜け出せたのか?
 30代でアル中となり、医者に「50で人格崩壊、60で死にますよ」
 と宣告された著者が、酒をやめて20年以上が経った今、語る真実。
 なぜ人は、何かに依存するのか? 

上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白

<< 目次>>
告白
一日目 アル中に理由なし
二日目 オレはアル中じゃない
三日目 そして金と人が去った
四日目 酒と創作
五日目 「五〇で人格崩壊、六〇で死ぬ」
六日目 飲まない生活
七日目 アル中予備軍たちへ
八日目 アルコール依存症に代わる新たな脅威
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