麻生さんのものの言い方は、その意味でも、彼らの感覚にフィットしている。

 麻生さんは、どんな場合でも、自分の声高に言い分を言い募るようなことはしない。
 たいていの場合、相手を揶揄するような顔つきで、半疑問形の語尾で発言する。
 これをキメられると、大真面目に質問している政治部の記者がバカに見える。

 あるいは、冷笑派の視聴者の目には、真面目で機転のきかない政治記者が、軽妙洒脱で当意即妙な麻生さんに良いように弄ばれているみたいに見えているのかもしれない。

 とすれば、記者クラブのメンバーたちは、

 「えーと、確認のためにおうかがいするんですが、ただいまの大臣のご発言は、この度の福田次官によるセクハラ事案に対して、大臣ご自身が、監督官庁のトップとして一切の責任を感じていないというふうに受け止めて差し支えないわけですよね」

 と、できればニヤニヤ笑いながら問い返すべきところなのではなかろうか。
 あるいは、単に爆笑しておくテもある。

 「はははははは」
 「何がおかしい!」
 「いえ、なんでもありません。ふふふふ」

 結論を述べる。

 私個人は、麻生さんに辞任を求める気持ちは持っていない。

 むしろ、現政権が省内で大掛かりな文書改竄があったにもかかわらずその大臣に辞任を求めない政権であることを内外に告知する意味で、最後まで職にとどまってほしいと思っている。健闘を祈る。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

小田嶋さんと「酒」と「健康」を語り合う禁断のイベント
いよいよ本日開催です。いったい、どんな話になるんだろう…。

小田嶋隆×葉石かおり×浅部伸一
「飲むべきか、飲まざるべきか、それが問題」

上を向いてアルコール』(ミシマ社)
酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社)コラボ鼎談

 出版局のT内です。酒飲みなら誰もが経験する「ああ、飲みすぎちゃったな……どうして途中でやめられなかったんだ……」という後悔。特にひどい二日酔いのときは「ひょっとして、アル中になってしまうんじゃ…」と心配になることもあるでしょう。

 アルコールを嗜む人にとって、他人事ではない「アル中=アルコール依存症」。でも、怖がりすぎる必要はありません。まず、敵(アル中)を知りましょう。アル中から抜け出し、酒を断って20年の人気コラムニスト、『上を向いてアルコール』を上梓した小田嶋隆さん。そして、『酒好き医師が教える最高の飲み方』の著者である、酒ジャーナリストの葉石かおりさんと、監修者で肝臓専門医の浅部伸一さんが語り合います。

 なぜ、人はアル中になるのか?
 アル中になるとどうなるのか?
 どんな治療が待っているのか?
 どんな人が依存症から抜け出せるのか?
 アル中にならずに、健康的に飲むためにはどうすればいいのか?

 壮絶! なのに抱腹絶倒の『上を向いてアルコール』、医師なのに酒好きな人たちに健康的な飲み方とウンチクを聞いた『酒好き医師が教える最高の飲み方』の著者たちが語る、面白くてためになるトークをお楽しみください!

時間 2018/05/11 Fri 20:00~22:00 (19:30開場)
場所 本屋B&B
東京都世田谷区北沢2-5-2 ビッグベンB1F
入場料
■前売1,500yen +(1 drink order 当日現金払い)
■当日店頭2,000yen + 1 drink order

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