おそらく、内閣人事局という仕組みを発想した人々のアタマの中には、ここのところの問題がひっかかっていたのだと思う。すなわち、もっぱら省益という狭い視野の中でのみその優秀さを競っている官僚の能力を、その省の官僚が評価したら、これは出口がないぞ、と、彼らは考え、だからこそ、政治主導による官僚の人事査定を画策したわけで、その考えそのものは、そんなに間違っていなかったはずなのだ。

 ところが、内閣人事局は、現状を見るに、どうやら、当初の思惑通りには機能していない。
 官僚を評価する能力も倫理観も持たない政治家が、人事権を武器に官僚を小突き回すためのツールみたいなものに成り下がっているように見える。

 ともあれ、誰もが認める官僚エリートたる福田淳一氏が、あきれるほどの脇の甘さを露呈しつつ、単純なセクハラスキャンダルで躓いたことを伝えるこのニュースは、人並み外れた能力が、本人にとって重荷でもあるということを教えてくれる示唆的なケーススタディだった。

 さらに付け加えるなら、自らの能力を恃む人間がセックスの罠に陥りがちであることから導かれるのは「セックスほど平等な堕落はない」という平凡な事実だったりする。
 その意味でも味わい深い事件だった。

 福田氏は、結果として、次の次官の任期を縮めてしまったこと(←いずれ遠くない時期に文書改竄事件の責任を取って辞任せねばならない)を気に病んでいることだろう。

 パソコンならばCtrl+Alt+Delで暴走したプロセスを強制終了させることもできるが、人間ではそうもいかない。
 自分の気持ちを整理するためにも、半年くらい自らフリーズして暮らすと良いのではなかろうか。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

「俺の栄光の時代は、Z会の模試で全国3位だった時だ」
と、遠い目をした友人がひとりおります。

 小田嶋さんの新刊が久しぶりに出ます。本連載担当編集者も初耳の、抱腹絶倒かつ壮絶なエピソードが語られていて、嬉しいような、悔しいような。以下、版元ミシマ社さんからの紹介です。


 なぜ、オレだけが抜け出せたのか?
 30 代でアル中となり、医者に「50で人格崩壊、60で死にますよ」
 と宣告された著者が、酒をやめて20年以上が経った今、語る真実。
 なぜ人は、何かに依存するのか? 

上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白

<< 目次>>
告白
一日目 アル中に理由なし
二日目 オレはアル中じゃない
三日目 そして金と人が去った
四日目 酒と創作
五日目 「五〇で人格崩壊、六〇で死ぬ」
六日目 飲まない生活
七日目 アル中予備軍たちへ
八日目 アルコール依存症に代わる新たな脅威
告白を終えて

 日本随一のコラムニストが自らの体験を初告白し、
 現代の新たな依存「コミュニケーション依存症」に警鐘を鳴らす!

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