自分の中に残った雑談の中には、のちのち、生きていくうえでの糧になった話もあるし、一番苦しかった時に勇気をもたらしてくれた言葉もある。

 そう考えてみると、これから先の困難な21世紀を生きる子供たちに必要なのは、カリキュラムに沿って適正な授業を推し進める教師よりも、むしろ魅力ある雑談を提供できる教師であるのかもしれない。

 とはいえ、個人的な予測を述べるに、この先、雑談が面白いタイプの人間が教師を目指すのは、珍しいケースになっていくことだろう。なぜなら、子供たちにとって魅力的な雑談は、文部科学行政の目指すところとは乖離しているはずで、というよりも、文部科学官僚の抱く理想の生徒は、経団連ならびに産業界が期待する労働者像から逆算された極力無駄口を叩かないタイプの勤労専念者であるはずだからだ。

 話を元に戻す。

 建前からすれば、自分たちの選んだ国の代表が国政について真剣な議論を戦わせている場である国会審議の中継放送を、退屈だとかくだらないとかいって貶めにかかっているさきほど来の私のものの言い方は、民主主義そのものを罵倒する態度だと言えなくもない。してみると、国会審議の質をどうこういう以前に、国会をテンからバカにしてかかっている私のような書き手の態度こそが、民主政治の進展にとって最も有害な天敵であるのかもしれない。

 つい3日ほど前、3月19日の参議院予算委員会で、自民党の和田政宗議員が、民主党政権で首相秘書官だった太田充理財局長に「安倍政権を貶めるために意図的に変な答弁をしているのか」と詰め寄る一幕があった(こちら)。

 当日のやり取りを、逐語的に記録した記事からの引用を以下に示す。
 和田政宗議員は、太田理財局長に対してこう言ったことになっている。

 「まさかとは思いますけども、太田理財局長は民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めておりまして、増税派だから、アベノミクスをつぶすために、安倍政権を貶めるために、意図的に変な答弁をしているんじゃないですか?」

 ごらんの通り。
 あまりといえばあまりにトンデモな暴言だ。

 まさかとは思うが、和田議員はこんなバカな陰謀論を本気で信じているのだろうか。それとも、財務省の官僚を激高させて何らかの発言を引き出すために、あえて自分の考えとは違う憶測を並べ立てて相手を侮辱せんとしたのだろうか。

 どっちにしても、ひどい質問だった。

 当然、議場は荒れ、ネットは炎上し、一連の場面の録画は、その日の夜のテレビ各局のニュースで繰り返し再生された。そして、和田議員の当日の質問は、あたりまえの話だがスタジオに居合わせたすべての人間の失笑を買うことになった。

 由々しき事態だ。
 質問がバカバカしいこと自体ももちろん嘆かわしい事実ではある。が、それ以上に、国会でこういうレベルの質問が発され、それが全国ネットで中継されたことの意味がバカにならない。