大阪に一風変わった幼稚園があって、そこでは園児たちに毎朝教育勅語を朗唱させている--というこのお話は、2年ぐらい前に、ツイッターか、匿名巨大掲示板経由で知った。

 揃いの園服を着た園児たちが軍歌を歌う動画も見たことがある。
 動画は、私の好きなタイプのコンテンツではなかった。
 というよりも、YouTubeに上がっているムービーをひととおり視聴して、私は息苦しさを覚えた。

 とはいえ、この段階では、この塚本幼稚園という大阪市淀川区にある私立幼稚園の教育方針について、あえてコメントすることはしなかった。私立の教育施設が、どんな教育方針を採用しているのであれ、基本的には他人が口を出すべきことがらではないと考えたからだ。

 あなたの皿に乗っている棒状の食材が芋虫でもソーセージでも、私は関与しない。
 当方が目をそらせばそれで済む。

 世の中には、趣味に合わないものや、見ていていやな気持ちになる出来事がたくさんある。
 それは仕方のないことだ。
 すべての日本人が、オダジマの趣味にかなう生き方をせねばならないという法律が施行されていない以上、私の方が我慢をしなければならない。

 その、園児に教育勅語を暗唱させる幼稚園に関する話題が、この1週間ほど、ネット上を席巻している。

 いくつかの報道によれば、その幼稚園を運営している学校法人(森友学園)は、大阪府豊中市に系列の小学校を設立する計画を持っており、学校側は、既にそのための用地を取得し、平成29年4月の開校に向けて準備を進めている。

 小学校は、目論見通りに開校すれば、日本初の神道に基づく小学校になるらしい。

 ところが、ここへ来て、その学校用地となった国有地の買収価格が、周辺の相場に比べて著しく安価(隣接する同程度の広さの土地に比べて約10分の1の価格で譲渡されている)であったことが判明している。

 塚本幼稚園の名誉校長には首相夫人である安倍昭恵さんが就任しており、小学校設立にあたって、森友学園が、当初、「安倍晋三記念小学院」の名前で開校する予定を持っており、寄付集めの段階では、その「安倍晋三記念小学院」の名前が使われていたことが明らかになっている。以下、2月17日の朝日新聞朝刊から引用する。

《--略-- (2月)17日の衆院予算委員会で、安倍首相は、民進党の福島伸享氏の質問に答えて、学校法人との関係をめぐり、首相は「私や妻が(小学校の設置)認可や国有地払い下げについて、(自身の)事務所も含めて一切関わっていないことは明確にしたい」と述べた。

 妻が名誉校長に就いていることについて、「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と説明。また、同学園が「安倍晋三記念小学校」の寄付者銘板に名前を刻印して顕彰する、との文言で寄付金を集めていたことを知っているかとの福島氏の問いには、「いま話をうかがって初めて知った」と答弁した。――後略》出典はこちら

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この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。