「言い切れないようだ」

 と、歯切れの悪い言い方をしているのは、実のところ、私自身、自分の目で現場を見ているわけでもなければ、官僚の再就職事情について、取材した経験も持っていないからだ。
 まあ、自信が無いわけです。

 ツイッターに流れてくる様々な関係者の発言を眺めていると、天下りについては、それぞれに違った立場からのそれぞれにもっともらしい言及があって、どっちにしても、一刀両断の解決策は無さそうに見えるということだ。

 以下、私がこの10日ほどのうちに見たり聞いたりした声を再構成してみる。

「同期の中から事務次官が出た時点で、一斉に退庁することになっているキャリア官僚のキャリア設計がそもそもどうかしている」

「50歳そこそこで東大や京大を出たエリート官僚が職場を離れる以上、再就職しないわけにはいかないはずだし、再就職先にしたって、現役時代の経験と知識が活かせる職場ということになれば、当然行き先ははじめからわかりきった場所になる」

「お役人の再就職をいちいち天下りだといって敵視していたのでは、ただでさえ流動性の低いわが国の労働市場がますます閉鎖的になる」

「とはいえ、規制官庁のお偉いさんがほぼ閑職の顧問やら相談役の肩書で、自分たちの影響力下にある業界の企業やら外郭団体を渡り歩いて3年毎に退職金を巻き上げて去って行く姿は、あまりにも型どおりに腐敗し過ぎていて三国志に出てくる十常侍そのまんまだぞ」

「でも実際問題として、優秀な元官僚がマネジメントしないと動かない現場もあるわけでね」

「そんなことより、天下り人材の厚遇を嫉視することの副作用がむしろ深刻で、楽して報酬を得ている勤労者をよってたかってリンチにかけたら、彼らはその罵声に対応して、次からは不必要な仕事を創造しては、それに従事するようになる。と、天下り人材が降りてくる現場には穴を掘って穴を埋めるみたいなタイプの、ただただ職場の人間たちを疲弊させるためだけに設定されるノルマがどんどん増えるようになるわけさね」

「もっと言えば、天下りの先生方には怠けていてもらわないと困るわけで、たいして現場を知っているわけでもない管理職がいちいちやる気出してマネジメント改革に乗り出したりしたら、現場は大混乱ですよ」

「結局、アレだよね。オレら民間の中にもクズみたいな管理職と会社にとって不可欠な管理職がいるのと同じことで、天下り人材の中にも優秀な人とどうしようもないクズが両方含まれているわけで、そういうところを見極めないで、一律に禁止したりしたら、角を矯めて牛を殺すじゃないけど、日本の官僚組織のみならず、産業界もけっこうなダメージを受けることになると思うよ」