まわりくどい言い方をしてしまったが、簡単に言えば、トランプ支持者は、必ずしもトランプ氏の人物や政策を支持しているのではないということだ。

 彼らの中では、まずトランプ氏の登場にダメージを受けている人々が嫌いだということが先にあって、だからこそ、自分の嫌いなタイプの人間たちを悲しませたり憤らせているトランプさんに喝采を送るという順序で、支持が形成されているわけだ。って、簡単な言い方になっていなかったかもしれない。

 ヒントは、橋下徹氏のツイートの中にある。
「セレブ」
「自称インテリ」
「口だけ」
「文楽」
「カッコつけ」
 というキーワードが、たった140文字の中にきれいに揃っている。

 トランプ大統領を支持する人たちは、
・現場を知らず、自分のカラダを動かさず、机上の空論と口先だけのきれいごとで収入を得ている人間
・大学教授、新聞記者、評論家、役人など、いい大学を出て、その資格だけで食っている人々
・文化や芸術に親しんでいる気取り屋のセレブ
 が嫌いな人たちだということが、おわかりいただけるだろうか。

 と、ちょうどそんなことを考えている時に、興味深いツイートが流れてきたのでご紹介しておく。

《米ホロコースト記念博物館にある「ファシズムの初期段階における危険な兆候」
・強く継続的な国家主義
・人権軽視
・国民を統一するための敵国認識
・セクシズムの蔓延
・メディア統制
・国家安全保障への執着
・知性と美術の軽視
・政教一致
アメリカだけじゃなく、日本にも当てはまります。》(こちら

 この言葉の原文や出典の確認はできていないので注意が必要だが、なんともいやな感じの符合だ。

 トランプ大統領に関しては、あまりにも言いたいことがたくさんありすぎるからなのか、現状ではまだ自分の中でうまく話をまとめることができずにいる。

 ひとつだけはっきりしているのは、トランプ現象のような直感的に「ヤバい」と思える事態に直面したら、ある程度感情的に動かないといけないと私が思い始めていることだ。

 マッカーシズムも、ナチズムも、戦前の日本の好戦的な空気も、ごく初期段階のおかしな兆候をアタマの良い人々が傍観しているうちに、巨大化して手がつけられなくなったものだ。

 こういう流れに対して、果たして理性的に立ち向かったものか、それとも感情的に訴えるべきなのか、私は、この10日ほど考え込んでしまっている。
 理性的に傍観する態度が良くないことだけはわりとはっきりしているのだが。

コメント欄へのレスポンスをありがとうございました。
今後も緩く理性的かつちょっと感情的に運営して参ります。
全国のオダジマファンの皆様、お待たせいたしました。『<a href="http://amzn.to/2hoz1xY" target="_blank">超・反知性主義入門</a>』以来約1年ぶりに、小田嶋さんの新刊『<a href="http://amzn.to/2ilPQYQ" target="_blank">ザ、コラム</a>』が晶文社より発売になりました。
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 前回のこの欄(こちら)に書かせて頂いた内容に、たくさんの方から思いも掛けず好意的な反響をいただきました。隅っこまで読んで頂いているんですねえ、本当にありがとうございます。コメント欄への投稿も、現状108件も賛否両論で頂戴しました。感謝しております。

 引き続き、コメント欄では、他の発言者の立場を「右翼」「左翼」などと決めつけることを控えませんか、とご提案させていただきます。モラル、マナーというより、ある意味ゲーム的に楽しんで頂けたらと期待しております。読む方がイラっとするのではなく、ニヤっとするようなコメントで唸らせて下さい。

 言葉狩りを行う気持ちは毛頭ありません。どうしても批判、非難のニュアンスが混ざるこうしたレッテルを、他人にぺたっと貼って「よし、言いたいことを言ってスッキリした!」と満足する。それではトランプさんとあまり変わらないように思うのです…。って、期待する投稿の最低ラインは米国大統領以上ってことなんですよねえ、ああ。(Y)

この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。