仮想通貨取引の大手、コインチェックから、仮想通貨のひとつである「NEM」が大量に不正流出したのだそうだ。

 よくわからないニュースだ。

 まず「仮想通貨」という概念がわからない。
 加えて「不正流出」が具体的にどういう動作なり現象を指して言っている言葉なのかが判然としない。

 というよりも、そもそも仮想通貨が流通している基本的な仕組みを理解できていない以上、このニュースは、どこをどう切り取ったところで自分にわかるはずのない話題なのだ。

 そう思って、自力で当たれる範囲のソースを辿って、色々と勉強してみた。

 結果は、「わからない」というところから一歩も外に出ていない。
 ただ、勉強した結果がまるで無意味だったわけでもない。

 具体的に言うと、それまで、なんとなくわからなかった部分が、はっきりとわからなくなった。この点が進歩といえば進歩なのだろうと、個人的にはそう思っている。

 つまり、自分が何をわかっていないのかについてある程度把握できたのだから、何がわかっていないのかさえわかっていなかった段階よりは、多少前に進んでいるのではなかろうかということだ。

 でもまあ、結論としてまるでわかっていないことに変わりはない。

 自分なりに見当をつけている部分がまるでないこともないのだが、素人が手近な検索結果から導き出した当てずっぽうの推論を開陳してみたところで、さして有意義な記事ができあがるようにも思えないので、当件について、私の見立てを述べることは差し控える。

 代わりに、ここでは、この3日ほど、このニュースへの人々の反応を眺めながら私が感じたことを書くことにする。
 どうせそれ以上のことはできないのだからして。

 仮想通貨不正流出のニュースを知った人々の多くが最初に見せた態度は、
 「そら見たことか」
 という感じのリアクションだった。
 第一報に触れた時の私自身の感想も、そんなに遠くない。
 「ああ、やっぱりな」
 と、私は思った。こんなことがいずれ起こる気がしていたからだ。

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この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。