別の見方もある。
 もしかすると、疑惑は疑惑として憂慮していても、それ以上に深い政治不信が疑惑の追及をためらわせているのかもしれない。

 どういうことなのかというと、具体的には

「そりゃ賄賂はマズいんだろうけど、じゃあ、後任は誰にやらせるんだ?」

「これで政権が倒れるんだとして、その次に出てくる政権が現状以下だったら最悪ってことにならないか?」

「カネに汚い大臣なんだとしても、まるっきり何もできないデクノボーよりはマシかもしれないしなあ」

と思っている国民が多かったということだ。

 安倍政権に不満があるのだとして、問題は、それを倒した後にやってくるであろう民主党政権に期待を持てないことだ。現政権より悪い政権がやってくることが分かっているのだとしたら、誰が政権を拒否しようと思うだろうか。

 そんな状況下で民主党は、この27日に

《民主党は嫌いだけど、
 民主主義は
 守りたい。

そんなあなたへ。すぐに信じなくてもいい。
野党として、止める役割をやらせてください。》

 という文字オンリーのポスターを発表した。
 なんでも、参院選向けのポスターなのだそうだ。
 正直な話、大変にがっかりした。

 こんな、斜に構えた中学二年生がどうせ振られる予防線コミコミで同級生の女子を口説いてるみたいなからっきし意気地のないコピーで、いったい彼らは何を有権者に訴えようとしているのだろうか。

 安倍政権暴走へのブレーキ役以外にろくに期待されていないのが事実で、みごとなばかりに支持されていないのだとしても、この自虐はありえない。

 これだけの敵失の中でさえ、自信を持って自分たちの政策を訴えることをためらう政党に、いったい誰が何を期待するというのだろう。

 甘利大臣にはようやく辞任していただけた。
 民主党には、ポスターの白紙撤回をお願いしたい。
 なんなら白紙でも良い。白旗みたいだけど。

オダジマタカシはお嫌いでも
この本は読んでみてほしい。

 当「ア・ピース・オブ・警句」出典の5冊目の単行本『超・反知性主義入門』。おかげさまで各書店様にて大きく扱っていただいております。日本に漂う変な空気、閉塞感に辟易としている方に、「反知性主義」というバズワードの原典や、わが国での使われ方を(ニヤリとしながら)知りたい方に、新潮選書のヒット作『反知性主義』の、森本あんり先生との対談(新規追加2万字!)が読みたい方に、そして、オダジマさんの文章が好きな方に、縦書き化に伴う再編集をガリガリ行って、「本」らしい読み味に仕上げました。ぜひ、お手にとって、ご感想をお聞かせください。

この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。