ちなみに、トランプ大統領が国境に壁を作る旨を宣言している相手国であるメキシコのペニャニエト大統領は、メキシコへの批判を繰り返すトランプ米大統領について「対立も服従もしない。解決策は対話と交渉だ」と述べている。
 当然だと思う。

 トランプ大統領は、この23日、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉から「永久に離脱」するとした大統領令に書名した。
 これはつまり、トランプ大統領がその地位にある限り、米国のTPP加盟は不可能になったということだ。

 この件について、安倍首相は、24日午前の参院本会議で、「戦略的、経済的意義について腰を据えて理解を求めていきたい」と述べている(こちら)。

 これもわからない。
 大統領令に署名したトランプ氏を翻意させることが可能だと、安倍首相は、本気でそう考えているのだろうか。

 安倍首相は、「トランプ氏は自由で公正な貿易の重要性は認識している」とし、米国に改めてTPP参加を働きかける考えだ、というのだが、これもにわかには信じがたい発言だ。

 もし安倍首相が、本気でトランプ大統領を翻意させるつもりであるのなら、なによりもまず、「アメリカファースト」といっている彼の考え方を変えねばならない。

 「アメリカファーストのような狭い考え方は捨てて、グローバル経済圏の中で共存共栄することを考えないといけない。でないとわれわれは共倒れですよ」

 と、安倍さんが本気でTPPの意義と効用を信じているのであれば、そう言ってトランプさんを説得しなければならないはずだ。

 なのに、安倍さんは、米国第一主義を尊重し理解すると言っている。
 そうでありながらTPPへの参加を促すと言っている。
 いったい、本当のところ、何がしたいのだろうか。
 日本のファーストは、どこにあるのだろうか。

 もしかして、就任前にいち早くトランプ氏のもとに駆けつけたことが第一のお手柄で、就任後もなるべく早く訪問するのが大事だと、そう思って勇み立っているのだろうか。

 とにかく、功をあせって闇雲に飛び込むことは避けておいた方が良いと思う。
 ファーストペンギンは、シャチの世界では「まぬけなごちそう」と呼ばれているらしいですよ。

いつも当コラムへのコメントをありがとうございます。
以下、担当編集者よりのお願いです。
全国のオダジマファンの皆様、お待たせいたしました。『<a href="http://amzn.to/2hoz1xY" target="_blank">超・反知性主義入門</a>』以来約1年ぶりに、小田嶋さんの新刊『<a href="http://amzn.to/2ilPQYQ" target="_blank">ザ、コラム</a>』が晶文社より発売になりました。
全国のオダジマファンの皆様、お待たせいたしました。『超・反知性主義入門』以来約1年ぶりに、小田嶋さんの新刊『ザ、コラム』が晶文社より発売になりました。

 いつもご愛読をありがとうございます。当欄の担当編集者のYです。
 前回の記事のコメント欄に、以下の投稿をいただきました。

-----------------

ごめんなさい。少しだけ。

最近,この手の話になると必ず出てくるキーワード。「左翼」「右翼」。そんなに重要ですか?ちょっとリベラルな話をすると「左翼」だし,ちょっと保守的な話をすると「右翼」だし。そんな言葉でくくれるような話ですか?左翼思想だ右翼思想だって,まるで危険思想のような扱い。小田嶋氏の意見が危険思想ですか?

日本には人が何人いるでしょう?その人が全員同じ思想って恐くないですか?もういい加減「左翼」「右翼」なんて枕詞無しに語ったらどうですか?この二つの単語を使わなくても同じ内容のことはかけるでしょ?物事の本質を色眼鏡で見ないで。読んでいても息苦しくなります。

-----------------

 取り上げる内容と、筆者の筆法もあってか、コメント欄にはいつもたくさんの投稿をいただいていますが、相手の意見に対しての同意・異論・反論ではなく、発言者の立場を「これこれ」と決めつけることを目的としたものが確かに目に付きます。

 当たり前のことですが、左翼だから悪い、右翼だから間違っている、ということはありません。コメント欄は、「意見が違う」ことは当然として、どこに同意でき、どこを違うと思うのかを交換する場になってほしい、と、改めて思いました。

 これまたコラムの性格上、コメントに多少の罵詈讒謗が含まれていても、洒落と判断し、他のコラムよりもおそらくゆるめに見ております。この姿勢はそのまま行こうと思っておりますが、相手の立場そのものを批判する文言になっていないか、コメントの投稿前にいまいちど見直して頂けたらと思う今日この頃です。

 皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。「カマトト」「シャチのエサ」とのご批判は甘んじて受ける所存です。(Y)

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。