数学ゲームで貧困解決を目指すNBA
具体的なソーシャルスポンサーシップの取り組みをご紹介しましょう。米プロバスケットボール協会(NBA)は、玩具メーカーのハズブロ(Hasbro)、子供の学習意欲向上を目指す非営利団体ラーン・フレッシュ(Learn Fresh)と協力して、「NBA数学バスケ」(NBA Math Hoops)という数学の基本スキル習得を目的としたボードゲームを開発しています。そして、このゲームを使って中学生を対象にしたトーナメントをNBA球団がフランチャイズを置く全米20都市にて開催しています。
このゲームはバスケットボールを模した対戦型のボードゲームで、対戦相手が2つのサイコロを振り合い、出た2つの数字の四則演算をその場で行います。そして、その4つの答えが全て正しければ、シュートを打つことができるというものです(簡単に説明していますが、実際はもう少し複雑です)。つまり、四則演算が正確なほどスコアが高くなり、試合に勝つ可能性が高まるというわけです。
NBAが中学生を対象にした数学ゲームコンテストを展開する理由は、中学生の数学の成績と貧困に相関関係が見られるためです。NBAは、バスケをテーマにしたボードゲームを展開することにより、貧困問題を解決しようとしているのです。
この取り組みにより、このゲームに参加した中学生の数学の成績は2013年より年率平均で約30%前後の範囲で改善されており、全米研究学会(AIR)によると、参加者はゲームに参加しない学生に比べて数学の試験の成績が300%良くなると報告されています。また、75%の教員はNBA数学バスケに参加した学生の学習意欲が高まると回答しており、ゲーム参加者の67%はゲームに参加することにより数学の宿題の提出率が上がったと回答しています。
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