イシュー・ドリブンへのシフトとは?

 そもそも「イシュー・ドリブン」と言われても、ピンとこない方も多いかと思いますので、イメージを湧かせてもらうためにその典型的な取り組みをご紹介しましょう。米プロフットボールリーグ(NFL)に所属するジャクソンビル・ジャガーズと、地元でガソリンスタンド兼コンビニチェーンを経営しているデイリーズ(Daily’s)社の取り組みです。

 ガソリンスタンド業界は、①競合との差別化が難しい、②セルフ給油中心でクロスセルが生まれにくい、という特有の経営課題を抱えていました。私もそうですが、運転手はガソリンが少なくなってきた時に目に飛び込んだガソリンスタンドに入り、給油後はその場でクレジットカード決済してしまうので、併設されたコンビニに足を運ばずに走り去ることが多いのです。コンビニまで来てくれれば、コーヒーやガムなど衝動買い需要が発生するため、客単価が上がります。

 こうした「イシュー」を解決するためにジャガーズとデイリーズが考えた協賛内容は、割引クーポン「Jag Dollar」の発行でした。Jag Dollarは、ジャガーズの試合会場でのみ使用できる割引券で、「10ガロン(約40リットル)以上の給油」「お勧めサンドイッチの購入」「洗車の実施」といった条件を満たすと、それらのレシートと引き換えに入手できます。

 ジャクソンビルの地元はジャガーズファンが多く住んでいますから、「どこでも同じならデイリーズで給油してクーポンをもらおう」という発想になります。また、レシートと引き換えにすることで、確実にコンビニまで顧客を誘導することができるのです。これで課題①②は両方解決できるというわけです。

 このように、クライアントの経営課題から協賛の仕組みを考えるのが「イシュー・ドリブン」です。

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