東京五輪の組織委員会もこれに倣い2016年7月に「アクション&レガシープラン2016」を策定し、「スポーツ・健康」「街づくり・持続可能性」「文化・教育」「経済・テクノロジー」「復興・オールジャパン・世界への発信」の5本柱でのレガシー創出を進めているようです。

東京五輪におけるレガシー創出に向けた取り組み
出所:https://tokyo2020.org/jp/games/legacy/

 前述のように、東京五輪の開催費用は1兆8000億円程度(2016年12月時点)と試算されていますが、これは夏季大会として過去最高額だった2012年ロンドン五輪の150億ドル(1兆6500億円)を超える規模です。これだけ多額の税金を投入するわけですから、実際にどの程度意味あるレガシー創出につながったのか(つながらなかったのか)を定量的に測定し、巨額の開催費用に見合ったレガシーが創出されたのかどうか検証することが望ましいと言えるでしょう。

露出効果は本質的な付加価値ではない

 今年4月、スポンサーシップに特化した米リサーチ会社IEGが毎年開催するカンファレンス「IEG 2018」に参加して非常に興味深い取り組みを知りました。IEGを創業したLesa Ukman女史(同社を2006年にWPPに売却し、現在はLesa Ukman Partnerships代表)による、スポーツが生み出した社会資本を定量的に評価する「ProSocial Valuation」(PSV)という手法です。

 「スポーツの生み出す本質的で持続的な価値を数値として可視化する」という同氏の問題意識はIEG創業時から一貫しています。特に「広がる“ソーシャルスポンサーシップ”の可能性」でも解説したように、スポーツがより社会的な役割を期待されるようになった昨今、スポーツが生み出す有形無形の社会資本に注目し、その可視化のために考案したのがPSVというアプローチだったそうです。

 スポンサーシップの価値として、真っ先に挙げられるのは露出効果でしょう。社名やロゴがスポーツ中継などを通じてメディアで露出した総量を金額換算するものですが、こうした露出効果の算出はあくまで広告媒体としての価値であって、スポーツがスポンサー企業に提供する最終的な付加価値ではありません。