顧客の“ペイン・ポイント”を把握しよう

 今の日本スポーツ界には、2020年に行われる“宴”の前夜祭のような雰囲気があります。阿波踊りではないですが、「踊らな損々」とばかりに半ば盲目的にスポーツ界への投資に追随する動きが散見されます。

 しかし、スポーツの協賛企業としても(その多くは上場企業です)、巨額の協賛料を支払うことに対し株主からの厳しい目に耐える精緻なアクティベーション(スポンサーの権利を活用した投資回収)計画を早急に練り上げて行く必要があるでしょう。また、スポーツ組織にしても、単に儲かれば良いというスタンスではなく、2020年後も有効活用できるハードやソフトを残さなければ結果的に自らの首を絞めることになります。

 そのためには、利権に目を奪われることなく、しっかりとした顧客視点でサービスの設計を進めていくことが何よりも肝要です。そんなことは当たり前だと怒られてしまいそうなので、ここではもう少しかみ砕いて考えてみましょう。

 スポーツ観戦でのファン体験(顧客満足度)を左右する要因は、「チーム要因」と「施設要因」に大別可能です。「チーム要因」とは、選手獲得やチームの成績、チケット価格、ファンサービスなど、チームがコントロールしている要因です。一方、「施設要因」とは、立地や座席からの観戦しやすさ、回遊性の高さ、飲食物の価格や品質、モニターの数など、施設側がコントロールしている要因になります。

 それぞれの要因において、重要度と満足度を調査すれば、「重要かつ不満」なエリアがファン体験を向上するための要改善項目(いわゆる、顧客の“ペイン・ポイント”)として浮かび上がります。利権化しやすいテクノロジーも、本来的には顧客のペイン・ポイントを改善するために用いられることが望ましいわけですし、多機能複合型スポーツ施設も、まずは施設・チーム単体で顧客満足度を高める努力を最大限行った後に段階的に移行していくべきコンセプトであるべきだと思います。