望まれるスポーツの純粋性を守る新たな制度設計

 スポーツ賭博解禁を受けたスポーツ組織の反応は様々です。スポーツ賭博推進派と言われている大リーグやNBA、北米プロアイスホッケーNHLは一様に今回の判決を歓迎するコメントを出しています。

全米州でスポーツ賭博が解禁へ(写真:AP/アフロ)

 一方、メジャースポーツの中でも保守派と言われるNFLは、競技の純粋性を守るために適切な法整備を議会に要請しています。アマチュアスポーツであるNCAAもNFL同様に議会に対して適切な法規制を求めるとともに、NCAAの政策決定に大きな影響力を持つ独立審議機関であるナイト委員会(Knight Commission)は、大学スポーツを含むアマチュアスポーツを賭博の対象として禁止するように各州に要請するコメントを表明しています。

 スポーツ賭博が解禁になったことで、スポーツ組織が期待できるメリットとしては、事業の拡大や新たな顧客の取り込みが考えられます。

 ファンタジー・スポーツが大きな市場に育っていった過程で専門サイトやテレビ番組、データ分析ツール開発、カンファレンス開催などの分野で新たな市場が形成されていったのと同じことがスポーツ賭博でも起こっていくでしょう。また、これまでの「チームを応援したい」という動機とは別に、「賭けの結果をリアルタイムで知りたい」「試合を見ながら賭けを楽しみたい」(いわゆる「Watch & Bet」)という新たな動機を持った顧客層が生まれることも予想されます。

 Watch & Betを成立させるには、賭博事業者へのリアルタイムでのデータ提供がカギになります。賭博事業者がリアルタイムで試合の進行を把握し、それを迅速にオッズに反映させておかなければ、秒単位で賭けを進めるプロのギャンブラーに勝てません。言い方を変えれば、スポーツ組織は国内外のブックメーカーへのデータ販売という新たな収入源を得ることになります。