各州政府のスポーツ賭博法制化のポイントとは?

 最高裁判決を受け、今後は各州がスポーツ賭博を独自に規制していくことになります。しかし、全米50州が横一線ですぐにスポーツ賭博を解禁するわけではありません。米紙USAトゥデイによると、最高裁判決が出た時点で既にスポーツ賭博を合法化している州(PASPAで既に合法化されていた州と、最高裁判決を見越して合法化法案を進めていた州)が7つ、現在スポーツ賭博合法化法案を審議中の州が12あります。この19州がスポーツ賭博実施について特に前向きな州と言えるでしょう。

各州のスポーツ賭博法制化状況
出所:USAトゥデイから抜粋

 今後、各州政府がスポーツ賭博の法制化を進めていく中で、まず大きなポイントになるのはその税率やスポーツ組織へのインテグリティ・フィーの支払いなどの制度設計をどう進めていくかでしょう。

 スポーツ賭博事業者への税率を設定するうえで参考になるとされるのは、ラスベガスのあるネバダ州の6.75%だと言われています。なぜなら、州は税収を確保するためにはこれまで闇市場で動いていたお金を表に出さなければなりませんが、税率が高すぎれば正規の賭博事業者が違法事業者に対して競争力を持てず、結果として事業が発展しない(闇市場のお金が表に出てこない)ためです。違法賭博事業者が当面のライバルになるというのは何ともおかしな話ですが、賭博専門家の間では税率を一桁に抑えておくのが望ましいと、まことしやかに言われています。

 また、インテグリティ・フィーとは、八百長の探知・防止や選手教育など、競技の純粋性を守るためのコンプライアンス環境整備を行うために、掛け金の一定比率をスポーツ組織に支払うというアイデアです。現在、特に米プロバスケットボールNBAと米大リーグが積極的に各州にロビー活動を展開しており、掛け金の1%をインテグリティ・フィーとして還元するように提案しています。

 自分がプロスポーツ球団のGM(ゼネラルマネージャー=選手獲得の最高責任者)になったつもりで実在する選手を集めて空想の最強チームを作り、オンラインで相手チームと“対戦”するデイリー・ファンタジー・スポーツ(DFS)をどう取り込んでいくかも大きな論点になるでしょう。「DFS訴訟はスポーツ賭博容認に向けた序章」でも解説したように、州政府は成長著しいDFS事業者を実質的なスポーツ賭博と見なし、その収益の一部財源化を進めています。DFSをスポーツ賭博と認定するか否かの判断は州により分かれていますが、いずれにしても州からライセンスを受けなければ実質的に事業ができない枠組みに取り込まれてしまったという意味で、スポーツ賭博に準じた形で税制やインテグリティ・フィーの整備が進んでいくものと思われます。