PASPA違憲判決への経緯

 まず、おさらいの意味も含めて、従来のスポーツ賭博を巡る状況を整理しておきます。米国では、スポーツ賭博はネバダ州、モンタナ州、デラウエア州、オレゴン州の4州を除き、その他の州では違法とされてきました。選手の八百長を招いたり競技の純粋性を損なうなどの理由から、1992年に連邦法「1992年プロ・アマスポーツ保護法」(Professional and Amateur Sports Protection Act of 1992。通称「PASPA」)が成立し、その時点で州がスポーツ賭博を法整備していた上記4州以外のスポーツ賭博を禁じたためです。

 PASPAの制定から20年たった2012年、財政難から新たな財源を求めていたニュージャージー州が「スポーツ賭博は既に多くの州で(違法にではあるが)広く浸透しており、合法化しても社会的に実害はない」「連邦政府に州のスポーツ賭博を規制する権限はない(憲法違反である)」との立場から、スポーツ賭博を合法化する法案を可決しました。実は同州は、PASPA制定の際に法整備が間に合わずに例外処分を受けられなかった苦い経験を持っていました。

 この動きに対し、4大メジャースポーツリーグと全米大学体育協会(NCAA)が12年8月、ニュージャージー州のスポーツ賭博合法化はPASPA違反であるとして訴訟を起こしました。今回は、この事案の最高裁判決という位置づけです(ちなみに、第一審、控訴審ともに原告が勝訴しており、ニュージャージー州が上告していました)。

 最高裁は6対3の評決で、PASPAは合衆国憲法修正第10条に違反するとの判決を下しました。修正第10条とは、「憲法により国に委任されず、また州に対して禁止されなかった権限は、それぞれの州または人民に留保される」という州の自治権を認めるものです。最高裁は、連邦政府がスポーツ賭博を規制するのはこの修正第10条に違反するため、PASPAを違憲と認め、スポーツ賭博の規制は州政府が行うべきとの見方を示したわけです。