昨年11月の全国高校アメリカンフットボール選手権準々決勝で、名門校である関西学院(兵庫)の3年生選手が試合中に意識を失い、その4日後に急性硬膜下血腫で死亡するという痛ましい事故が起こりました。3年生選手はフェイスマスク付近に相手選手から強いヒットを受けて意識を失い、吹田市内の病院に運ばれて緊急手術を受けたそうです。

同選手は事故の3カ月ほど前から頭痛を訴えて市販の鎮痛薬を服用しており、事故の1週間前にも「頭痛が悪化している」と漏らしていたようです。しかし、監督やチームドクターらはこの事実を把握しておらず、試合直前に同選手がトレーナーらに「大丈夫です」と答えたことや、整骨院で肩こりに伴う筋緊張性頭痛と指摘されていたこともあり、試合への出場が許可されたとのことです。
関西学院はこの事故を受け、今年3月18日に事故調査の最終報告書を公表しました。報告書では、頭痛と事故との因果関係は不明と結論づけられましたが、頭痛の問診票の作成や頭部の血管検査の実施などの再発防止策が講じられることになりました。
私も大学時代にアメフトをやっていた者として、プレーにけがはつきものという感覚を持っています。膝や首、腰などに持病を抱えながらプレーする方が普通で、どこも痛くない体で試合を迎えられることの方がまれでしょう。しかし、脳震とうなど頭のけがは目に見えず、周りからもその症状を伺い知ることが難しいものです。
命を落とした高校生のご冥福を祈るとともに、今回のコラムではコンタクトスポーツと脳疾患の関連性について、欧米スポーツにおける潮流の変化をご紹介しようと思います。
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