スポーツ賭博は合法化へ舵を切る?

 ここまで、トランプ政権のネガティブな影響の話が中心になってしまいましたので、逆にスポーツ界の活性化につながる可能性がある話をしましょう。

 以前「米国でスポーツ賭博が合法化される?」でも解説しましたが、米国ではスポーツ賭博は連邦法「1992年プロ・アマスポーツ保護法」(Professional and Amateur Sports Protection Act of 1992、通称「PASPA」)によりネバダ州、モンタナ州、デラウエア州、オレゴン州の4州を除き違法とされています。しかし、近年は州レベルで財政難を打開する突破口にすべく、スポーツ賭博の合法化に舵を切る動きが出てきています。

 その代表的な州がニュージャージー州です。同州は2012年にスポーツ賭博合法化法案を可決したのですが、当時は4大メジャースポーツと大学スポーツ(NCAA)の反対にあって頓挫していました。しかし、近年プロスポーツ組織もスポーツ賭博を容認する方向にスタンスを変えつつあり、米国におけるスポーツ賭博を巡る状況には大きな変化が起こりつつあります。

 例えば、MLBや米プロバスケットボール協会(NBA)のコミッショナーはスポーツ賭博を容認する方向で検討を進めていることを公言しています。米プロアイスホッケーリーグ(NHL)は今年から、ギャンブルのメッカであるラスベガスに新球団を設立します。米プロフットボールリーグ(NFL)に所属するオークランド・レイダーズも今年の1月、ラスベガスへの移転希望を正式に申請しました。従来まで、米メジャースポーツリーグは敗退行為を招く恐れがあるとして、ラスベガスへの球団設立を避けるスタンスを長きに渡り堅持してきましたので、この動きは革新的なことです。

 実は、米国におけるスポーツ賭博を巡る状況はマリファナ(大麻)合法化の動きに似ています。マリファナも、連邦法では違法とされていますが、州レベルでは医療用や娯楽用の使用を認める州が増えてきています(現在、8つの州がマリファナ使用を全面合法化しており、28の州とワシントンDCが医療用使用のみ合法化している)。つまり、連邦と州でダブルスタンダードとなっている中で、連邦政府が州の動きを事実上黙認しているのです。

 スポーツ賭博も、今後連邦政府(司法長官)がどのようなスタンスを取るかにより、その行く末が大きく左右されることになります。違法状態を黙認し続ければスポーツ賭博合法化に向かう州が増えるでしょうし、逆に取り締まりに走るのであれば合法化の流れは停滞するでしょう。

 司法長官の人事権を握っているのは言うまでもなく大統領です。トランプ氏と言えば、カジノが集まるニュージャージー州のアトランティックシティに自身のホテルを持っていたこともあって、以前からスポーツ賭博推進派として知られていました。トランプ氏自身、1980年代にはNFLの対抗リーグだったUSFLの球団オーナーだったこともあり、スポーツ組織経営者の立場や思考も良く分かっているはずです。

 もしトランプ氏が国内産業振興の柱の一つにスポーツ賭博を据えるようなことがあれば、米国におけるスポーツとギャンブルの関係は劇的に変わるかもしれません。