2024年のロス五輪招致にも暗雲

 MLBに次いでトランプ政権誕生のとばっちりを受けるのではないかと言われているのが、2024年の夏季オリンピック招致に立候補しているロサンゼルスです。現在、ロサンゼルスの他、パリも招致に手を挙げており、今年9月13日にペルーのリマで開催される第130回IOC総会で開催都市が決定します。(注:ハンガリーのブダペストは2月22日に招致活動からの撤退を表明)

 当初、テロの不安が残るパリや、経済が停滞しているブダペストから一歩抜け出して、ロサンゼルスでの開催が有力視されていました。ロサンゼルスと言えば1984年の五輪開催により、それまで「赤字で国を亡ぼす」と言われたオリンピックを黒字化し、米国でスポーツの産業化のきっかけを作った都市です。その40周年となる2024年にオリンピックを再び招致したいロサンゼルスでしたが、トランプ政権の誕生によりこの思惑に思わぬ暗雲が立ち込めています。

 トランプ氏は選挙戦の最中から宗教差別や女性蔑視とも受け取れる発言・行動を繰り返しています。大統領就任後も、イスラム圏7カ国からの入国を制限する大統領令を出し、空港が大混乱に陥ったのは記憶に新しいところです。ご存知のように、この大統領令は憲法違反の疑いがあるとしてシアトルの連邦地裁により差し止められ(ホワイトハウスは控訴)、控訴審も第一審の判断を支持しています。

 これまでトランプ氏が選挙戦や大統領就任後の政策を通じて社会に発信してきたメッセージは、「普遍的で根本的な倫理規範の尊重」「友情・連帯・フェアプレーの精神」「いかなる種類の差別の禁止」などを憲章でうたうオリンピックの根本原則とは明らかに相反するものです。2024年のオリンピック開催までトランプ政権が存続するとは思えませんが、今年9月のIOC総会への悪影響は避けられそうにありません。

 オリンピック開催都市は百名を超えるIOC委員の投票によって決まりますが、イスラム圏や中南米諸国の委員や女性委員からの票を失えば、思わぬ苦戦を強いられるかもしれません。