ユーススポーツで数百億円規模の町おこし

 「より専門的なスポーツ教育を、より早く受けさせる方が選手として大成し、プロになれる、あるいはプロまで行かなくとも大学に奨学金で通える可能性が高まる」と親は考えます。この結果、何が起こったか。

 まず、子供が小さい時から1つの競技に絞って専門的なコーチングを受けさせるようになります。米国といえば、スポーツはシーズン制を採用していることで知られていました。春から夏に掛けては陸上や野球、秋から冬はアメフトやバスケといった具合に複数競技を掛け持つのが普通でした。でも、最近のユーススポーツの世界では競技を1つに絞る「Specialization」(専門化)が進展しています。

 顧客(親)からの期待に応えるように、より高いレベルでの競技環境を求めて全米中を遠征するようなユースチームも増えてきています。また、こうしたチームを招致するために、子供専用のスポーツ複合施設を建設して町おこしをするような自治体も見られるようになりました。

 例えば、人口3万人ほどのインディアナ州ウェストフィールドという名もない町は、2014年に7000万ドル(約77億円)の公債を発行して資金調達し、400エーカー(東京ドーム約34個分の広さに相当)の土地に複合スポーツ施設「Grand Park Sports Campus」を建設しました。ここには26の野球場や31の多目的フィールドをはじめ、ラクロス競技場や屋内競技場などのユーススポーツ施設がまとめて設置されています。ウェストフィールドは当初マイナーリーグの球団招致を考えていたようですが、ユーススポーツのほうが収益性が高いとみて施設建設に踏み切ったそうです(キャンパスの様子はこちらのYouTube映像でも確認できます)。

Grand Park Sports Campus全景
Grand Park Sports Campus全景
出所:Grand Park Sports Campus

 遠征には親も同行しますから、こうした施設の周辺にはホテルやレストランなども併設されるようになります。2016年にはウェストフィールドに120万人が訪れ、1億4500万ドル(約160億円)の経済効果がありました。

 こうしたウェストフィールドのような町がMLBのキャンプ地さながらにユーススポーツを招致するようになった結果、「ユーススポーツツーリズム」と呼ばれる新たな産業分野が出現するようになりました。

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