日本も優勝候補の常連として知られる「リトルリーグ・ワールドシリーズ」(LLWS)。清宮幸太郎選手らの活躍などで聞き覚えのある方も多いでしょう。LLWSは11~13歳の子供たちが参加する、リトルリーグの世界選手権大会です。世界中から激戦を勝ち抜いた8カ国の代表チームと米国各地区を代表する8チームが、リトルリーグ発祥の地であるペンシルバニア州ウィリアムズポートで約10日間にわたり世界一を争います。

米国で2015年8月に開催された「リトルリーグ・ワールドシリーズ」の決勝戦での健闘をたたえ合う日米の選手たち。(写真=AP/アフロ)

 1963年からABCがテレビ中継を行っていましたが、当初は決勝戦のみの放映でした。しかし、人気の高まりとともに、今では第一ラウンドから全試合が放映されています。好カードともなれば、同日のMLBの試合を視聴率で上回ることもあるくらいです。現在、LLWSの放映権を持つESPNは2022年まで8年契約で総額6000万ドル(約66億円)もの権利料を支払っています。小学生によるたった10日間の野球大会に、これだけの巨額のマネーが動いているのです。

 米国でプロスポーツに次ぐ存在として、大学スポーツ(NCAA)がよく挙げられます。その市場規模は100億ドル(約1兆1000億円)にも及ぶと見られており、日本もこれを参考に政府肝煎りで大学スポーツのビジネス化(日本版NCAAの創設)が推進されています。

 しかし、実はアメリカで大学スポーツを凌駕する巨大マーケットが近年急速に出現しています。それが、ユーススポーツ(高校生以下を対象にしたスポーツ)です。調査会社のWinterGreen Researchによれば、現在の米国におけるユーススポーツの市場規模は約153億ドル(約1兆6830億円)。大学スポーツの市場規模を優に超え、世界最大のプロスポーツリーグNFL(米プロフットボールリーグ)を上回る規模です。

 今回のコラムでは、米国で成長著しいユーススポーツビジネスの現状や成長の背景、問題点などについて解説してみようと思います。実は学生スポーツのビジネス化はパンドラの箱です。市場主義は経済合理的なメカニズムは提供しますが、社会道徳や倫理観など教育的価値を必ずしも尊重するものではありません。大学スポーツで起こったことは、そのまま低年齢化して歯止めが利かなくなる恐れもありますので、注意が必要です。