分析2:部下が上司を勇気づけることもできる

 前任の営業部で目覚ましい成果をあげたB室長。しかし、畑違いの企画室に赴任した彼は不安や恐怖を抱えているのかもしれない。そして、おそらくは営業部時代から抱えていたと推測される劣等感を肥大させ、それを解消しようと優越を誇示し始めた。B室長の言動をアドラー心理学ではそう推測する。

 つまり、B室長は自信満々なのではなく恐怖を隠すために強さを演じている可能性が高い。そんなB室長の優越ひけらかし行動を減らし、周囲のスタッフや部下が平穏に働ける職場を回復するためにできることは何かと言えば、それは勇気づけの一言に尽きる。

 勇気づけとは勇気を失い、人生の課題から逃げ出している劣等コンプレックスや優越コンプレックスを抱いている人に勇気を与える支援行動のことだ。具体的には、相手の良いところ、できているところを見て声をかける。相手を信じて見守る。相手の勇気をくじかないこと。そして、貢献に感謝する。粘り強くそれを続けていくのだ。

 勇気づけは何も上司から部下へ、親から子へするものとは限らない。相手との関係がどうであってもできるもの。それが勇気づけだ。つまり、この場合であれば、周囲のスタッフや部下が上司を勇気づける。これが解決の指針となるだろう。

 本当に強い者は強さを誇示する必要がない。B室長にはそれがないから職位をひけらかす。この構造を理解し、B室長の弱さや、はかなさを感じ、勇気づける視点を持つ。それが有効な視点だとアドラー心理学では考える。